価値向上へ外観も重視 茨城県産メロン「イバラキング」 贈答需要取り込みに力

茨城新聞
2023年7月10日

メロンの茨城県オリジナル品種「イバラキング」の商品価値向上へ、県は食味に加え外観も重視した販売戦略を進めている。5月の品評会で最優秀に選ばれたメロンは過去最高となる1個1万800円の値を付けており、県は「成果が表れ始めた」。網目やアンテナがキラリと光る「王様級」ブランドとして、今後は贈答向け需要の取り込みに力を注ぐ。

県によると、静岡県産の「クラウンメロン」や北海道産の「夕張メロン」は2万~3万円の高価格帯で販売されている。一方、イバラキングは「品質では負けていない」(県販売流通課)にもかかわらず、昨シーズンまでの最高価格は4320円だった。

市場価値向上に向け、茨城県は5月、初の品評会「キング・オブ・イバラキング」を開催。高級フルーツ店の担当者や有名パティシエらが甘さや果肉の食味、香りだけでなく、均等な網目模様やアンテナと呼ばれるヘタの部分が美しい「T字」の形になっているかなど、見た目の美しさも審査、上位3人の生産者を選んだ。

最優秀賞「ゴールドマイスター」を受賞したJAほこたメロン部会の根崎直喜さんが生産したイバラキングは、6月に新宿高島屋(東京)で2個を販売。過去最高額となる1万800円で即日完売した。

県のアンテナ店「IBARAKI sense」(イバラキセンス、東京)では、優秀賞「シルバーマイスター」受賞品を1個6480円、優良賞「ブロンズマイスター」受賞品を同5400円でそれぞれ販売。それぞれ限定10個が、いずれも完売となった。

県販売流通課は「これまで茨城県産メロンは『おいしいものを安く』という姿勢が中心だった。これからは価格的にも正当に評価され、生産者が利益を得られる仕組みを作りたい」と意気込む。

県はイバラキングやナシのオリジナル品種「恵水」、クリ、銘柄牛「常陸牛」、銘柄豚「常陸の輝き」の県産農産物を重要5品目に位置付け、百貨店や高級レストランなどで提供しブランド力強化に取り組んでいる。