《食いこ》道の駅かつら(茨城・城里町) 古内茶入り焼き菓子人気

茨城新聞
2023年5月26日

茨城県城里町御前山の那珂川沿いに立地する「道の駅かつら」は、1993年に開業した茨城県の道の駅の草分け。歴史を刻んだ建物はどこか郷愁の趣を放つ。手作り品の提供をモットーとし、店内には、従業員が丹精を込めたどら焼きやまんじゅうなどの菓子が並ぶ。

 

人気の一つが、特産の古内茶をマドレーヌ風の生地に練り込んだ「こちゃレーヌ」(税込み170円)。焼き菓子の定番マドレーヌと古内茶の「古」を音読みさせた造語という。生地の甘みと茶の爽快な苦みが調和する逸品だ。

隣接する菓子工房。パート従業員の石崎ひろみさん(57)と石崎美樹さん(51)が製造を担当する。材料は、一般的なマドレーヌに使う小麦粉や卵、バター、砂糖、ベーキングパウダーなど。古内茶は、直売店「高安園」(同町下古内)が生産する粉末茶を用いている。「しっとりとした食感を出すため、蜂蜜も入れています」。ひろみさんは、大型のボウルで材料を混ぜながら、おいしさの秘訣(ひけつ)を明かしてくれた。

商品を割ると、鮮やかな緑色が見える

美樹さんは、ひろみさんが仕上げたペースト状の素材を、絞り袋を使ってカップに注入する。1カップの適量は55グラム。多いと焼成時に膨れ過ぎて形が崩れ、少ないと火が通り過ぎて硬くなってしまう。オーブンでの焼き上げが終わり、ひろみさんが扉を開けると、茶の爽やかな香りが室内に広がった。1日当たり約200個を製造するという。

「こちゃレーヌ」の開発が始まったのは2019年春。城里の食材を使ったオリジナル菓子を作ろうと、店長の谷津安男さん(57)を中心に議論を重ね、特産の古内茶を用いることが決まった。当初はどらやきの生地に練り込む案が持ち上がったが、茶の苦みを素直に引き出すため、マドレーヌを応用した菓子に一本化したという。

ひろみさんと美樹さんは、長年和菓子作りに携わってきたが、洋菓子は初の試みとなった。ひたちなか市の洋菓子店で研修を受け、製造手順やレシピなどを習得。試行錯誤を繰り返し、20年5月に商品化にこぎ着けた。

2人を見守ってきた谷津さんは「従業員の頑張りで形になった。城里の良さが詰まったスイーツをぜひご購入いただければ」と呼びかけた。


■お出かけ情報
道の駅かつら
▽城里町御前山37
▽営業時間は、4~9月が午前9時~午後6時、10~3月が午前9時~午後5時
▽休業日は、1月1~5日
▽(電)029(289)2334