茨城・常陸太田の若宮八幡宮 歴史後世に 文書解読、叢書2冊刊行
茨城県常陸太田市宮本町の若宮八幡宮(和田忠彦宮司)は、若宮八幡宮叢書(そうしょ)Ⅰ「若宮八幡宮の歴史と社寶」と同叢書Ⅱ「若宮八幡宮文書」の2冊を刊行した。応永年間(1394~1428年)から近現代までの歴史をまとめたものと、その歴史を読み取るための文書(もんじょ)で構成。同八幡宮は「この叢書が鎮守若宮八幡宮と常陸太田の歴史文化への理解に役立てほしい」とアピールする。
「同神社の歴史を明らかにし、後世につなげたい」との和田宮司の思いから、2年前に同県那珂市在住の歴史学博士の高橋裕文さん(75)に研究と史料収集、解読、編集を依頼。応永年間から近現代までの佐竹氏、水戸藩・太田村町・氏子崇敬者との関わり、祭祀(さいし)・神事などの変遷などが分かるようにまとめた。
高橋さんは同八幡宮に保管されていた古文書はもちろん、同市教委所蔵の太田村御用留110冊から同八幡宮に関する箇所を抜き出し、また常陸太田市外の社家(しゃけ)に残る史料を集め、地元の人たちへの聞き取りなども行った。
また、勧請元(かんじょうもと)の鶴岡八幡宮(神奈川県鎌倉市)や渡御先の釜坂八幡宮(茨城県日立市久慈町)を訪れ、若宮八幡宮の八角御輿(みこし)の形を探るため、東京・浅草へも出向いた。
高橋さんは「佐竹氏の時代や町人たちが盛り上げてきた時代など歴史的な多くの謎が分かった。時系列にまとめたので時代の変化を面白く読める」と説明。和田宮司は「点だった八幡宮の歴史が線の中で理解できるようになった。歴史を見直せた」と話す。
同叢書はA4サイズで、「歴史と社寶」が92ページ、「文書」が139ページ。図書館や歴史館、関係する学校などに寄贈予定。