《食いこ》笠間茶屋(茨城・笠間市) 酒かす料理、味まろやか

茨城新聞
2022年12月17日

発酵食品の一つ、酒かすを使ったランチやお菓子などを提供するカフェ、笠間茶屋(茨城県笠間市)。店主の畑岡久美子さん(54)は「酒かすは食物繊維など栄養素が豊富だが、名前のイメージから使い道がないと思われがち。料理に活用できることを知ってもらいたい」と力を込める。

酒かすは、日本酒などのもろみから酒を搾り取った後に残る白い塊。葉酸やタンパク質、ビタミンなどを含み、腸内環境を整えたり、血行を促進させ、体を温めたりする効果がある。

畑岡さんは笠間市内の酒蔵に勤めていたことがきっかけで、大の酒かす好きになったという。「体に良いだけでなく、料理に使うと味付けがまろやかになる。気付いたら日々に欠かせない食材になっていた」と語る。酒かすの魅力を多くの人に伝えたいとの思いから、酒蔵に勤務する傍ら、2018年3月、同市内にカフェを開いた。

しばらく二足のわらじを履いていたが、20年に酒蔵が惜しまれつつ廃業。以来、カフェの運営に専念し、現在は長女とともに切り盛りする。

使用する酒かすは風味の良さから宇都宮酒造(栃木県)と磯蔵酒造(同市)に厳選した。ランチメニューのお薦め「鶏丼定食」は、酒かすだけでなく、みそやしょうゆといった発酵調味料もふんだんに使った一品。国産鶏肉に酒かすやしょうゆ、みりんで作った調味料を塗って低温調理し、出来上がった鶏ハムには酒かすとみそ、スパイスを入れたたれがかかっている。

セットの小鉢や汁物には、ニンジンやジャガイモ、タマネギなど、畑岡さんが同市内の畑で自家栽培した有機野菜を豊富に使う。休日や営業時間の前後など、カフェを開く合間を縫って、こつこつ育てたものだ。ランチはほかにも、カレーやしょうが焼き、焼き魚など約10種類あり、お汁粉やクッキー、パウンドケーキといったお菓子も提供する。いずれも酒かすを味付けや生地に練り込むなどして生かしているのが特徴だ。

お菓子とドリンクのセット

 

「おいしく食べて、家庭でも気軽に取り入れてもらえたらうれしい」。たっぷりの栄養と、畑岡さんの愛情がこもった酒かすメニューの数々は、寒さが厳しくなるこれからの時期、食べた人の心と体をほっこりと温めてくれる。

■お出かけ情報
笠間茶屋
▽笠間市笠間2247の1 まちの駅笠間宿内
▽火、水曜定休
▽(電)080(6730)5283