茨城・龍ケ崎産ホップ使用のクラフトビール 「醸彩エール」販売開始
原材料の一部に茨城県龍ケ崎市産のホップを用いたクラフトビール「醸彩(じょうさい)エール」が完成し、市内の店舗で販売が始まった。ホップは市立城西中の生徒が「緑のカーテン」として校内で栽培し、ラベルもデザインした。販売価格は1本670円(税抜き、330ミリリットル)で1500本限定。
経済の仕組みを生徒に学んでもらうとともに、地域活性化に役立てようと市と市教育委員会が企画。同県牛久市内に醸造所を持つ「麦と葡萄」が製造を、龍ケ崎市内の酒類問屋「岩田商店」が卸売りをそれぞれ担った。
同校では4月にホップの苗を花壇に植えた。つる性植物の高く伸びる特長を生かし、日差しを和らげる緑のカーテンに仕立てた。栽培にはPTAや地域住民も加わり、9月には収穫作業があった。
酒税法上、醸彩エールは発泡酒に分類される。麦と葡萄の角井智行社長(48)によると、高い温度で発酵させて製造することで、フルーティーな香りとスパイス感を引き出した。日本地ビール協会による審査会「インターナショナル・ビアカップ2022」で銅賞を獲得したといい、「ゆっくり、じっくり味わってほしい」と呼びかけた。
醸彩エールは市内店舗での限定販売となる。校名にかけ「地域に彩りと声援を」(市企画課)との願いが込められている。岩田商店の岩田裕稔社長(56)は「市外からも龍ケ崎まで買いに来てもらえれば」と期待した。販売店の一つ「銘酒の殿堂 飯野屋」の飯野徳仁さん(43)は「地元密着の商品をPRしたい」と意気込んだ。
商品のラベルには牛久沼の形を模したホップの根を描いたり、竜の手をあしらったりしたほか、市の花のキキョウ、市の木の松をイメージした配色で「龍ケ崎らしさ」を演出した。デザインした同校3年の多田樟太朗さん(15)は「自分の作品を多くの人に見てもらえればうれしい」と語った。
ビールの売り上げ1本につき40円を同校に還元し、教材や備品の購入に充てる予定。生徒会長で3年の近野颯南さん(15)は「みんなで協力してホップを育てるのが楽しかった」と話した。菊地耕校長は「生徒が携わったものが地域に回っていくことで、経済の勉強になるはず。飲酒に関する教育も進めていきたい」と強調した。
【醸彩エール販売場所】
▽銘酒の殿堂 飯野屋▽あわや酒店▽青山酒店▽智・酒屋▽鍵久酒店▽地酒と自然食品 えびはら▽杉野商店▽FOOD OFFストッカー佐貫店▽焼肉幸屋
※変更の可能性あり