例年とは違う味わいの紅葉を 日照不足・・・色づき控えめ 那須連山・奥日光

下野新聞
2016年10月16日

 紅葉シーズンを迎えた那須連山や奥日光で今秋、「紅葉の色づきがいまひとつ」との声が上がっている。9月の日照時間が記録的な短さだったのに加え、冷え込みも鈍く、葉の発色が進まなかったとみられる。例年よりも見頃が遅めとなっており、関係者らは気をもんでいる。

 県日光自然博物館によると、奥日光の紅葉は例年より約1週間遅れで15日ごろから見頃になっている。全体的に赤の色づきが少なく、小田代ケ原の名物「草(くさ)紅葉(もみじ)」は赤くならずに時季を終えた。那須連山の斜面も、例年に比べ赤が目立たない。

 紅葉が色鮮やかになるには適度な(1)日照(2)湿度(3)昼夜の寒暖差-が必要とされる。民間気象会社ウェザーニューズ(千葉市)の広報担当者は「9月の日照不足と同月下旬~10月上旬の高温の影響で、早めに紅葉の時季が訪れる栃木、群馬県の標高の高い地域で鮮やかさが控えめになったようだ」と分析する。

 宇都宮地方気象台によると、奥日光の9月の日照時間は平年比66%の66・1時間で、1989年の統計開始以降で最短。那須高原も76・1時間で平年比79%。平均気温は両地点とも平年比で1・5度高かった。

 観光地では紅葉の当たり外れが客足に影響しかねないだけに、関係者は躍起だ。

 奥日光で10年以上ガイド活動を行う安倍輝行(あべてるゆき)さん(40)は例年との色模様の違いを説明し「風景全体だけでなく、葉1枚に現れるグラデーションを楽しむことなどを提案している」。戦場ケ原の観光物産店「三本松茶屋」のツアーガイド中山高行(なかやまたかゆき)さん(33)も「赤は確かに少ないが、逆に言えば例年にない珍しい景色があるということ」と伝えているという。

 那須高原ビジターセンターの担当者も「色づきが悪い理由を説明し、自然の仕組みにも興味を持ってもらえるような案内を心掛けている」と、紅葉とは別の楽しみ方も勧めている。

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