茨城・鉾田に「陸軍飛行学校」 企画展 特攻隊の史料展示
太平洋戦争直前に茨城県鉾田市内に開設された陸軍の飛行場について知ってもらおうと、同市徳宿の市生涯学習館「とくしゅくの杜」で、企画展「鉾田陸軍飛行学校と鉾田地方の人々」が開かれている。市民団体などが集めた特攻隊員の残した写真や手紙など、貴重な史料を展示している。10月16日まで。
企画展は7月に発足したボランティア団体「とくしゅくの杜市民学芸員運営協議会」(大沼信夫会長)が主催。同協議会によると、同学校は1940年、新宮、白鳥、上島の3村(いずれも現鉾田市)にまたがる約1200ヘクタールの土地に建設され、翌41年に開校。軽爆撃機の訓練を行っていたが、44年10月に鉾田教導飛行師団に改編され、旧陸軍初の特攻隊「万朶(ばんだ)隊」などが編成された。同学校は、太平洋戦争終結とともに解体された。
会場には、市民団体「鉾田陸軍飛行学校を伝える会」などの協力で、万朶隊隊長の岩本益臣大尉の日誌や、特攻隊員が家族に残した手紙を展示。同学校建設のため、移転を余儀なくされた地域の住民の証言や、市民学芸員が航空写真を基に制作したジオラマなども並ぶ。
同館で企画展が行われるのは初めて。約2カ月かけて展示の準備を進めた市民学芸員らは「貴重な史料に触れ、命の大切さや平和への願いを感じてもらいたい」と口をそろえる。
学芸員がいる日は、解説を聞くことができる。市内には戦争遺構はほとんどなく、存在を知らない市民も多い。大沼会長は「ぜひ市民の皆さんに見てもらいたい」と呼びかけている。
開館時間は午前9時~午後5時。休館日は月曜(祝日と重なる場合は翌日)。問い合わせは同館(電)0291(36)6900。