野外彫刻展3年ぶり開催 茨城・桜川、10月10日 作家33人参加

茨城新聞
2022年9月15日

茨城県桜川市大和地区の里山や集落を舞台にした野外彫刻展「雨引の里と彫刻」が10月10日に開幕する。約3年ぶりの開催で、県内外で活躍する作家33人が参加する。石や木、竹、土など、さまざまな素材で作られた彫刻が点在し、鑑賞者は全行程13キロにも及ぶルートを自由に巡り歩く。会期は12月11日まで。

同展は1996年、大和村(現桜川市)で石彫の創作に取り組む作家7人が、地元での発表の場として初めて開いた。翌97年には石以外の素材を扱う作家も加わり、参加する作家は27人と一挙に増えた。

その後も数年に1度のペースで開催され、毎回40人前後の作家が独創的な作品を披露してきた。今年で12回目となる。前回展(2019年4月1日~6月9日)には約8千人が訪れた。

同展の特徴は参加作家が毎回実行委員会を組織し自主的に運営することだ。今回は昨年春から月1回の割合で会議を開き、開催エリアの選定などで意見を交わしてきた。各作家は展示する場所を自分で探し、地権者の許可を取り付ける交渉も行う。

「マニュアル通りにやるのではなく、新しいアイデアや地域の方々とのコミュニケーションを大事にしながらやってきた」。97年から出展を続ける彫刻家の鈴木典生さん(56)=つくば市=は振り返る。

開幕を前に、桜川市大曽根のアトリエでは制作が進む。作品のタイトルは「花舞台」だ。土でステージを築き、花の形に彫った石を配置する。展示会場には、加波山が見え、イチョウとサクラの木がステージ両脇に並ぶ所を選んだ。「花が咲き誇っているような感じで、明るい未来が見えるような作品にしたい」と語る。

今回は新型コロナウイルス禍では初めての開催となる。感染予防のため好評を博してきたバスツアーは中止。代わりに作家が作品解説する「アーティスト・トーク」が設けられた。鈴木さんは「新型コロナの影響で(作品を)発表できなかった。展覧会ができる喜びを感じている」と力を込めた。

同展の問い合わせは同市生涯学習課(電)0296(20)6300。