関東天台、役割たどる 茨城県立歴史館 県内3寺院、宝物一堂
天台宗の総本山延暦寺に対し、茨城県内寺院が果たした歴史的な役割をたどる企画展「関東天台~東国密教の歴史と造形」が16日、水戸市緑町の県立歴史館で開幕する。同展は修行する僧侶の学びの拠点となった県内の寺院に焦点を当てた。関連の宝物や文書を展示し、独自の「関東天台」という立場を構築した過程を紹介する。会期は9月4日まで。
展示品は、千妙寺(筑西市)、月山寺(桜川市)、水戸・薬王院(水戸市)の3寺院が所蔵する絵画や法具、経典、文書など38点。各寺院が平安時代から江戸時代にかけて果たした役割を示す資料で、多くは初公開になるという。
千妙寺は、京都で天台密教の教えの一つ「三昧流(さんまいりゅう)」が途絶えそうになる危機を救った。同寺からは三昧流の守護神で、子どもの姿をした神を描いた「馬形護法童子像(ばけいごほうどうじぞう)」や、関連書状など最多の23点が出品される。
このほか、修行僧の教科書として使われた月山寺所蔵の「鉄眼(てつげん)版一切経(いっさいきょう)」の一部や、三昧流の拠点寺院、京都の青蓮院(しょうれんいん)との交流を示す水戸・薬王院の扁額(へんがく)「桓武帝勅願所」などが主な見どころとなる。
同館の資料調査専門員、飛田英世さんは「展示を通して茨城の文化的特徴を知り、関東天台という独自の文化に触れてほしい」と話している。
午前9時30分から午後5時。月曜休館(18日は開館、19日は休館)。一般350円、大学生180円、満70歳以上170円(28日は無料)、高校生以下無料。