那珂川 きょうから広重美術館
【那珂川】馬頭の町馬頭広重美術館で14日、企画展「浮世絵版画の色とワザ」が始まる。江戸時代から近代にかけて、世界的に見ても高度に発達した多色刷り木版画である浮世絵の世界を色材と印刷技術からひもとく、浮世絵の入門編としても楽しめる内容だ。6月19日まで。
浮世絵は一点ものの肉筆浮世絵と、絵師が描いた原画を基に、刷り師が版木から手刷りで何十枚、何百枚と生み出す浮世絵版画(錦絵)に分かれる。
企画展は浮世絵版画について、特徴である華やかな色彩にどんな顔料や染料が使われたのか、また色材のほかにどんな技術を用いていたのかについて、近年の研究成果に基づき、歌川広重(うたがわひろしげ)や3代目豊国(とよくに)などの作品約50点とともに紹介している。
例えば赤色一つでも、紅花や朱といった伝統的な色材が使われた江戸時代に対し、明治期の浮世絵(開化絵)にはコチニールという、南米に生息する虫から採れる成分を使った色材が使われるようになり、画面の雰囲気が変遷した様子がうかがえる。
今回は復刻品ながら、さまざまな色を23回も刷り重ねて、ついに一つの作品が完成する浮世絵版画の印刷過程が分かる「刷り順」の展示もある。
鎌倉時代をモチーフにした浮世絵版画15点を展示する「鎌倉武勇伝」も同時開催。
入館料は大人500円など。月曜休館。(問)同館0287・92・1199。