五感で楽しめる自信作 冷やしたぬき 喜久粋(宇都宮)

下野新聞
2021年7月7日

 手打ちそばにエビや野菜の天ぷら、山菜、錦糸卵など具材がたっぷりトッピングされた「冷やしたぬき」(800円)。1994年の開業以来、メニューの中でも断トツの人気を誇る。

 「そばはゆでたてが最ものどごしを楽しめるんです」という2代目片岡孝洋(かたおかたかひろ)さん(37)の一言に、急いで箸を付けた。冷水できゅっと締まった麺はつるつるっと口に入る。弾力があり、かむほど甘みを感じた。

 カツオやサバでだしを取った甘めのつゆは、初代の父智実(ともみ)さん(64)から引き継いだ自慢の味。かけてもよし。付けてもよし。そばとだしの香りが見事に調和する。トッピングの天ぷらは衣がしっかり付いており、サクサクした食感がたまらない。彩りも豊かで、五感で味わうとはまさにこのことか。

 そばは、代替わり後も智実さんが毎朝打っている。孝洋さんは小学生の頃から、そんな職人気質の父の背中を見て育ち、早々に「店を継ぐ」と心に決めた。「負けず嫌いなので、父を超えてやろうと思っていたんです」とほほ笑む。

 おいしさの秘訣(ひけつ)は、孝洋さんの心意気。「丁寧にやれば、料理に心がこもるはず」。父と同じ気質をうかがわせた。

 【メモ】宇都宮市菊水町3の20。午前11時半~午後2時、同5時半~10時。水曜定休。(問)028・635・0802。

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