「生きる力届けたい」つくばの画家・飯泉さん、地元で初個展 コロナ禍で描いた19点
「生きる力を届けたい」という思いを込めてアート活動に励んでいる画家、飯泉あやめさん(31)=つくば市=の地元で初めての個展「キャンディーと心臓」が、同市下横場の安田記念講堂ギャラリー(アカデミア幼稚園敷地内)で開かれている。新型コロナウイルス禍の中で、昨年中に描いたアクリル画を中心に計19点の作品を発表。飯泉さんは「不安や息苦しさで元気をなくしてしまった人に、エネルギーを感じてもらえれば」と話している。
タイトルの「キャンディー」には「生きる糧」、「心臓」には「生の実感を感じる鼓動」という意味を込めたという。
出品の内訳はアクリル画が17点、それに「CUBE(キューブ)」と名付けた立体作品と、「生きるということ」と題し会期中に会場で描いているドローイング作品がある。
メインのアクリル画は、絵の具を指に付けて描いた。花や木、鳥、太陽、猫、だるまなどが登場し、いずれもカラフルだ。描く途中で作者の中に湧き上がった感情が、線のうねりとともに見る側に伝わってくる。
「Untitled(アンタイトルド)」(横60.6センチ、縦50センチ)という作品には、植物に埋もれるように、青いだるまが、息も絶え絶えの様子で描かれている。
作者によれば「だるまは自分の自我を表し、夢を追い、混沌(こんとん)を冒険して、何とか生き残って青ざめている」のだという。一方、「植物は生命力を象徴。実は食糧を表し、自分を生かすエネルギーであって、未来への種でもある」と話す。
幼い頃から、「かく」ことに無上の喜びがあったという飯泉さん。武蔵野美大在学時の2011年3月11日、祖母と2人で青森県を旅行中に東日本大震災に遭遇。現地に3日間閉じ込められ、極度のストレスで、心身が疲弊し、その後拒食症にもなってしまったという。
同大卒業後、栄養学を学び、自らの努力で拒食症を克服した。管理栄養士として長野県の施設で数カ月ほど働いた後、17年につくばに戻り、アート活動を始めた。
飯泉さんの絵は「まず手を動かしてから、こみ上げてきたものを描いていく」スタイル。18年以降、ライブペインティングにも挑戦。今回の個展では、昨年11月にオンライン配信の形で開催された「ジャパン・ライブアート・ミーティング2020」に参加し、制作した作品も展示されている。
会期は2月15日まで。無料。午前11時~午後9時半まで鑑賞できる。施設は第2、4火曜日定休。
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