金剛力士像2体帰還 桜川・雨引観音 修復終え3年ぶり コロナ収束後公開
茨城新聞
2021年1月1日
東京芸術大(東京)で修復を終えた鎌倉時代制作の金剛力士立像「阿形(あぎょう)」と「吽形(うんぎょう)」の2体が、桜川市本木の雨引山楽法寺(雨引観音)に約3年ぶりの帰還を果たした。同寺仁王門に安置されてきた像で、運慶や快慶で知られる「慶派」の仏師が彫ったとみられている。寺は当面、新型コロナウイルス収束を待って公開する方針だ。
像は2体とも高さ約2・5メートル。両腕を除き1本のヒノキで作られている。2017年11月に吽形、18年11月に阿形を搬出し、都内の同大で修復が進められた。阿形の中から永正16(1519)年の修理時に納入された木札や文書類が発見された。金剛力士立像としては県内最古級とみられる。
同大の学生や教職員約20人が本坊2階に像を運び込んだ。修復を担当した同大大学院の藪内佐斗司教授(67)は「京都の東寺にあった仁王像が慶派の代表作だったが、明治時代に焼けてしまった。(高い写実性の)系譜を引くものが常陸国に残っていたことは、大変な歴史的意義がある」と強調した。
作業を見守った桜川市生涯学習課の寺崎大貴さん(49)は「全国レベルの文化財があると改めて見直す機会になる」と話した。
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