渡仏後昇華「日本の要素」 笠間日動美術館企画展「梅原龍三郎と藤田嗣治」 絵の具に岩料/墨使い繊細さ
20世紀初頭、同時期にフランスに渡った画家、梅原龍三郎と藤田嗣治の作品を紹介する企画展「梅原龍三郎と藤田嗣治」が13日まで、笠間市笠間の笠間日動美術館で開かれている。会場には、当時のフランス絵画に影響を受けた2人が、自らの作品に「日本の要素」を取り入れたことが分かる作品が展示されている。
2人の共通点は、「留学した後に、日本の画材を使っている」こと。梅原は、油彩画の油に日本の画材を溶いて使った。一方、藤田は、墨を使うという手法に行き着く。当時のフランスの流行を目の当たりにした2人は、流行を吸収するだけでなく、その中から独自性を見いだした。
企画展の展示作品の中に、それらの手法を使った作品を見ることができる。
梅原の「薔薇図」(1970年)は、油絵の絵の具の中に、日本画で使われる岩料を加えて描いた作品で、砕いた鉱石が光の反射で輝くのが分かる。
梅原は35年ごろから油彩画に岩絵の具を併用して独特の表現効果を開発。48年ごろからデトランプ(日本画の岩絵の具をポリビニールの溶液に混ぜる)という技法による制作が多くなる。デトランプによる絵は、油彩画のように塗り重ねることができず平面的で、その多くがキャンバスではなく紙に描かれた。
藤田の「猫三匹」(32年)は、墨を使い、猫の毛並みまで繊細なタッチで描いている作品で、水彩画の技術を駆使した「日本らしさ」を感じさせる。藤田は33年に帰国し、その後は墨を使った日本画スタイルと、自分を育んだヨーロッパの様式を融合させた作品などを発表している。
開館は午前9時半~午後5時(入館同4時半まで)。月曜休館。入館料大人千円、65歳以上800円、大学・高校生700円、中学生以下無料。日動美術財団主催、県、県教委、笠間市、同市教委、茨城新聞社など後援。
問い合わせは同館(電)0296(72)2160。
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