《食いこ》静けさ満喫 真夏のかき氷 NAMICHIDORI茶房(つくば市) 

茨城新聞
2020年8月10日

和室から眺める雨上がりの庭はぬれた木々の緑や敷石がしっとりした風情を醸していた。近くを走る大通りのにぎわいとは対照的に、静かなたたずまいの甘味どころ、つくば市の「NAMICHIDORI(なみちどり)茶房」。

茶道を通して日本文化を伝える伊原英宇さん。和の雰囲気を感じられる「NAMICHIDORI茶房」を開く=つくば市小野崎

和服姿で迎えてくれた代表の伊原英宇さん(41)は茶道や着付け教室など日本文化を伝える活動を行う「NAMICHIDORI」を開く。茶房もその一つで、「気軽に茶の湯の雰囲気に親しんでほしい」と話す。茶道教室はインターネットからの申し込みが多く、茶房がきっかけで始めた人もいるという。茶道の問い合わせはホームページ(メール)から受け付ける。

母親が茶道教室を開く伊原さんは東京都生まれで、つくば市育ち。京都にある裏千家学園茶道専門学校茶道科を卒業後、東京都内の茶道具店に勤めた。2016年にNAMICHIDORIを立ち上げ、17年に茶房を開いた。

品書きはあんみつなどの甘味と抹茶などの飲み物。伊原さんが「おいしい」と納得した素材を選び抜いた。香りが良く腰のある寒天は「最高級」といわれる伊豆諸島産の天草を使用。北海道十勝産アズキのあんは「糖度が低く、アズキ本来の薄紫色をしている」。季節感あふれる「本日の主菓子(季節の上生菓子)」は自ら手掛ける。この日は、ハスの花のつぼみを意匠にした練り切りだった。

「平安時代からの伝統的な食べ物」というかき氷は8月31日までの夏季限定。純氷を削ったふわふわの氷。使用する「イチゴミルク」「宇治金時ミルク」の2種類のシロップは自家製。茶道用の良質な抹茶で作ったシロップがかかる宇治金時ミルクは、こんもり盛られた氷の中に粒あんが隠れている。

茶房は週3日の営業。格子戸に掛かるのれんと店前に出される看板が営業中の合図だ。テーブルといすの和室は、季節や天気で変わる自然光を感じてほしいと照明は控えめにしている。

伊原さんが1人で切り盛りするため「大人数の対応は難しい。提供までに時間がかかり、お待たせしてしまうことも」。和の落ち着いた雰囲気の中、ゆったりと静かに過ごしたいときに出掛けたい。

■お出かけ情報
NAMICHIDORI茶房
▼住所はつくば市小野崎437の1
▼営業時間は水曜・金曜・日曜の午前10時~午後5時
▼定休は月曜・火曜・木曜・土曜。不定休あり
▼(電)029(851)9361

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