県内観光地 待望の始動

下野新聞
2020年6月2日

 国の緊急事態宣言の全面解除などを受け、県内の多くの観光名所・集客施設が1日、新型コロナウイルス感染防止に配慮しながら再開した。

 拝観を停止していた日光市山内の世界遺産「日光の社寺」は1日、約1カ月半ぶりに再開した。参拝者はまばらだったが、拝観する姿が久々に戻った。

 日光東照宮、日光山輪王寺、日光二荒山神社の二社一寺は緊急事態宣言などを踏まえ、4月14日から拝観を停止。消毒液やビニールカーテンの設置など感染防止対策を徹底した上で再開した。

 曇り空のこの日、東照宮は午前9時に表門を開けた。境内には、マスクの着用や間隔を開けるよう呼び掛けるアナウンスが流れた。足利市の会社員男性(46)は「再開と聞き少しずつ日常に戻りつつあるのだと実感する。今日は自分の健康を祈った」と話した。

 東照宮によると、例年この時期は修学旅行生を含め1日当たり約5~7千人が来訪するが、この日は311人だったという。稲葉尚正(いなばたかまさ)権宮司は「再開はしたが、感染が収束した訳ではない。緊張感を持ち、参拝者や職員の安全を守るためしっかり対策する」と話した。

 新型コロナウイルスの影響で営業を休止していた栃木市の巴波(うずま)川の遊覧船が1日、約3カ月ぶりに運航を再開した。市中心部を流れる川と、川沿いの蔵の街並みに久しぶりに船頭唄が響いた。

 遊覧船はNPO法人「蔵の街遊覧船」が運営している。昨年10月の台風19号以降、工事などで断続的に運航できない状態が続き、新型コロナの影響で予約キャンセルが相次いだため3月から休止していた。

 感染防止策として、乗船定員を22人から10人程度に減らすなどして再開。この日は午前10時、関係者ら7人が最初に乗船した。マスク姿の船頭マネージャー中村明雄(なかむらあきお)さん(62)が「船が出るぞ」と声を掛けると、7人が「おー」と拳を上げて応え、ゆっくりと出発した。

 遊覧船は、幸来(こうらい)橋と瀬戸河原公園間の約300メートル区間を20分ほどで往復する。平常時は船頭が歌う「栃木河岸船頭唄」は、録音を流して対応する。中村さんは「(再開は)うれしい。お客さまに楽しんでもらえるよう、一から頑張りたい」と意気込んだ。

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