日清戦争の錦絵を発見 来月公開へ 渋川金島小で115枚
渋川市教委は25日、金島小(高橋一広校長)で、日清戦争(1894~95年)を題材にした明治時代の錦絵(多色刷りの浮世絵版画)115枚が見つかったと発表した。保存状態は良好で、「最後の浮世絵師」とも呼ばれ風景版画で名高い小林清親(1847~1915年)の作品も多く含まれている。同小に伝わった経緯は不明。市教委は近代史を物語る貴重な美術品として保存する。
見つかった錦絵は、3枚並べて一場面を構成するもので、3枚そろったものが37セット。そろわないものが4枚あった。1枚が縦約36センチ、横約24センチの大きさ。
日清戦争と同時期の1894~95年に出版されたとみられ、清親のほかも当時の一流浮世絵師が描いている。陸海の戦いの場面だけでなく、下関講和会議の様子や、戦場風景を叙情的に描いた作品も多い。
昨年10月、小島達夫教頭が、地域の民俗資料などを保管している同小の郷土学習室を調べていて見つけた。小島教頭は「棚に置かれていた紙束を広げてみたら、色鮮やかな絵が現れて驚いた」と振り返る。
高橋校長は「百数十年前の版画が、これだけきれいに残っていたのは感慨深い。地域の宝だ」と話す。市教委と同小は、専門家に詳しく調査してもらったうえで保存や活用方法を検討する。
県立館林美術館の徳江庸行学芸員は「コレクターの収集品でないものが、これだけまとめて、学校のような場所から見つかるのは珍しい」と驚いている。
市教委によると、戦争を題材にした明治時代の錦絵は「戦争絵」と呼ばれ、西南戦争や日清戦争の戦況を大衆に伝える情報メディアの役割も果たした。日清戦争の錦絵は約300種類が出版されたという。
錦絵は2月17~26日、同小近くの金島ふれあいセンターで一般公開される。
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