展示室の公開再開 茨城・鹿島宇宙技術センター 予約制、衛星通信の歴史紹介
衛星通信の歴史や研究について学ぶことができる情報通信研究機構鹿島宇宙技術センター(茨城県鹿嶋市平井、高橋卓センター長)は今月、新型コロナウイルスの影響で休止していた展示室の公開を予約制で再開した。
同センターは1964年、郵政省電波研究所鹿島支所として開設され、情報通信や宇宙科学の研究開発に取り組んでいる。展示室では模型やパネル、映像を使って、これまでの実績などについて紹介している。
注目の一つは「静止衛星軌道」の模型。地球から3万6千キロメートル離れた人工衛星の軌道の一つで、地上から見て衛星が静止しているように見られる状態を説明。地球の同じ位置を常に観測しているために、主に気象衛星や放送衛星などに使われていることや、各国が打ち上げ続け混み合っている様子もよく分かる。
既に役割を終え、解体された直径34メートルのパラボラの一部も展示。宇宙や地球周辺の空間を計測する技術「VLBI」(超長基線電波干渉法)のため88年に完成し、測地学や天文学の研究に貢献したことが分かり、実際に触って質感や重さも体感できる。
このほか、光を集める光学望遠鏡や、電波を集めるアンテナの仕組みが分かる模型や、「地球を回る人工衛星とスペースデブリ」についての3D画像も用意。64年の東京五輪衛星中継や、CS・BS放送の実用化に向けた研究実績についても学べる。
高橋センター長は「(見学を通じて)科学に関心を持ってくれる人が増えてもらえればうれしい」と願っている。
見学は月-金曜日(祝日を除く)の午前9時~午後3時。予約は同センター(電)0299(82)1211。