茨城県北芸術祭、9月17日開幕 準備急ピッチ、周知に力
県北6市町を舞台に初めて開催される国際アートフェスティバル「KENPOKU ART 2016 茨城県北芸術祭」は28日、来月17日の開幕まで20日となった。県などの実行委員会は会場設営や交通対策などの開催準備を急ピッチで進め、県内外への周知に向けた情報発信にも力を入れる。今後、参加アーティストの作品制作は大詰めの段階に入り、制作作業や運営を補助するサポーターの活動も本格化する。県北地域の魅力発信に向けた動きも出始め、開催機運は徐々に盛り上がりつつある。
■周遊バス運行
同芸術祭の参加アーティストは国内外の85組が出そろい、展示会場は4エリアの計32カ所となった。有料施設8カ所を対象とする作品鑑賞パスポートは7月に前売りを開始。芸術祭の見どころを紹介する公式ガイドブックは29日にも県内書店で販売が始まる。
開幕が迫り、実行委は各会場の設営や周辺の案内表示などの準備を急いでいる。期間中は秋の観光シーズンと重なるため、渋滞回避や駐車場の確保に加え、土日祝日には会場を効率よく回る3コースの周遊バスを運行する。最寄り駅から各会場への巡回バスについても調整していく。
■住民参加で制作
各会場では今月に入り、一部のアーティストが作品制作を本格化。大規模なインスタレーション(空間芸術)や住民参加型のプロジェクトでは、サポーターや参加者を募集している。
ザドック・ベン=デイヴィッドさんは常陸大宮市家和楽の旧家和楽青少年の家で、約2万7千本の金属の花を並べるインスタレーションを制作。連日、約20人のサポーターに手助けされ、「皆、すごく熱心で作業も正確だ」と感謝した。
人工衛星を利用して6市町の六つの星を結ぶ星座を描くアートプロジェクトや、出会った人と物々交換するプロジェクトなども住民を巻き込んで進行中だ。
28日には、日立市の常陸多賀商店街などをニットでくるむプロジェクトを行う力石咲さんと、想像上のまち「常陸佐竹市」を発足させる深沢孝史さんがそれぞれ住民説明会を開き、活動への参加を呼び掛けた。
県によると、サポーター登録者は既に千人を超えたが、「開催期間が長い上、作品制作が集中すると、いくらいても足りない」として今後も募集を続ける。
■魅力発信を模索
県は芸術祭期間中、30万人の来場を目標とする。地元市町では観光や飲食、宿泊などの経済効果に期待しながらも、「何をすればいいか分からない」と戸惑う声が多いのが現状だ。
そんな中、県北地域の酒蔵が連携して来月、芸術祭のオリジナルラベルを貼った日本酒が発売される。統一のロゴマークを付けた芸術祭推奨の土産品の選定も進められる。ほかにも来場者をもてなしたり、県北の魅力を発信しようと模索する動きが出始めた。
県県北振興課は「アーティストの作品や制作風景が目に見えてくると、開催機運も高まってくる。より多くの住民らにさまざまな形で芸術祭に関わってもらいたい」と期待している。
★茨城県北芸術祭
会期は9月17日~11月20日の65日間。現代アートを中心とする国内外のアーティスト85組が、計約100の作品・プロジェクトを制作・展示する。主な展示会場は、五浦・高萩海浜(北茨城市、高萩市)▽日立駅周辺(日立市)▽奥久慈清流(常陸大宮市、大子町)▽常陸太田鯨ケ丘(常陸太田市)-の4エリア。
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