戦後日本画壇 創造の軌跡 来月4日まで 県五浦美術館

茨城新聞
2016年8月15日

戦後日本画壇の創造の軌跡をたどる企画展「日本画、新しき風にのせて-佐久市立近代美術館の名作」が、北茨城市大津町の県天心記念五浦美術館で開かれている。新たな画風を求めて模索した、若い時代の東山魁夷や平山郁夫氏らの絵画を一堂に見ることができる。

出展作品を所蔵する佐久市立近代美術館(長野県)は、同市出身の美術収集家、油井一二(いちじ)氏(1909~92年)から寄贈された名品を柱に、明治から現代までの日本画、洋画、彫刻、工芸、書、現代アートなど3千点超をそろえる。この中から、戦後日本画壇を象徴する61点を選び、風景、人物、動植物の三つの切り口で紹介している。

県天心記念五浦美術館の中田智則学芸員は「本展では、巨匠といわれる画家たちの若い時代の作品を集めた。新しい表現で時代を切り開くそれぞれの姿を感じとってほしい。また、日本の伝統美術を今によみがえらせる現代作家の感性も味わっていただければ」と話す。

見どころの一つが、東山や平山氏のほか、小倉遊亀(ゆき)、片岡球子、加山又造ら名だたる作家の代表作を一堂に鑑賞できること。このうち平山氏の「仏教伝来は」、東京美術学校を卒業後に新境地を確立した同氏の記念すべき作品で、仏典を求め中国からインドへ旅した玄奘三蔵を主題にしている。

現在第一線で活躍する田渕俊夫氏や土屋禮一(れいいち)氏、世界的に著名な千住博氏、本県ゆかりの那波多目功一氏(ひたちなか市出身)と倉島重友氏(龍ケ崎市在住)の作品も見ることができる。9月4日まで。問い合わせは同館(電)0293(46)5311。 

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