「体験生きている」 松本零士さん自らの作品語る 筑西

茨城新聞
2016年6月13日

「銀河鉄道999」などの作品で知られる漫画とアニメーションの巨匠、松本零士さん(78)のトークショーが12日、筑西市丙のしもだて地域交流センターアルテリオで開かれた。自然や戦争、映画、漫画が身近にあった青春時代を振り返り、「体験が(作品の)資料として生きている」と述べて、経験を積むことの必要性を来場者に説いた。

アルテリオ3階にあるしもだて美術館では現在、松本さんの直筆原稿や資料を展示する企画展が開催中。同市はJR、真岡鉄道、関東鉄道が走る鉄道の要衝で、イベントは企画展や各鉄道のPR、地域振興を目的に開かれた。

約150人を前に、松本さんは目線より下を飛行する米機、占領軍が横行した戦後、部下を失った元軍人の父が遺族に責められる様子など、青少年時代の「不思議な体験」を紹介。さまざまな実体験が参考資料となったことで、「(作品を)リアルに描けた」と話した。

また自身が感染した病気の治療法を「男おいどん」で描いて共感を得たことから「作品に目的意識が必要なことを知った」と強調し、「自分で実感するのと写真を見るのは全く違う」と述べて、さまざまな体験を得る意義を語った。

同日は真岡鉄道下館駅で「999」のヘッドマークを付けたSLもおか号の出発式も行われた。県内外から約300人が詰め掛け、松本さんの出発の合図でSLが発車すると、ファンがカメラのシャッターを切ったり乗客が手を振ったりして楽しんでいた。

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