記憶遺産へ 19日申請 「東アジアと交流証明」 上野三碑

上毛新聞
2016年5月20日

ㅤ高崎市の世界記憶遺産国内候補「上野三碑(こうずけさんぴ)」について、県や高崎市、専門家でつくる登録推進協議会は18日、同市の多胡碑記念館で記者会見し、国連教育科学文化機関(ユネスコ)への申請書を19日に文部科学省に提出すると発表した。申請書は、三碑を「東アジアの人と文化の交流を明らかにした原資料」と位置付け、普遍的な価値を強調する内容。ユネスコの国際諮問委員会が審査し、来年夏ごろに登録の可否が決まる。

ㅤ申請書は英文でA4判44ページ。漢字文化や仏教が日本列島に伝わり、地域の人々に受容されたことを証明している点や、日本の最古の石碑群であることを示した。国内の専門家が作成した原案に中国、韓国の研究者の見解を盛り込んだ。
ㅤ月内にユネスコに送られ、諮問委が真正性や世界的な重要性を基準に、1年ほどかけて審査する。
ㅤ会見で、推進協の横島庄治会長は「世界記憶遺産にふさわしい価値があると確信している。われわれの思いは必ず届く」と述べ、申請書に署名した。副会長の飯野真幸高崎市教育長は「高崎の宝がいよいよ世界の宝になるという思いだ」と期待を込めた。
ㅤ三碑は、いずれも国特別史跡で7~8世紀に建立された山上碑(同市山名町)、多胡碑(同市吉井町池)、金井沢碑(同市山名町)。681年建立の山上碑は完全な形で残る国内最古の石碑とされ、僧が亡き母のために建てたことが記されている。上毛かるたに詠まれる多胡碑(711年)は新たな郡の設置、金井沢碑(726年)は先祖供養のための一族の結束が記録されている。
ㅤ世界記憶遺産への登録運動は、2012年に大沢正明知事が推進を表明して具体化。14年に推進協が発足し、昨年9月にユネスコ国内委員会が国内候補に選定した。
ㅤ世界記憶遺産は、世界遺産、無形文化遺産と並ぶユネスコの三大遺産。文書や書籍、絵画などが対象で現在、世界に348件、国内に「山本作兵衛炭坑記録画・記録文書」など5件ある。

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