笑顔つなぎ「生きる力」 15日、日立でミュージカル

茨城新聞
2016年5月11日

「障害者、健常者に関係なく全ての人に見てほしい」-。日立市で15日に福祉ミュージカル公演が行われる。長い闘病生活を経て障害者となった同市在住の女性が、「闘病生活を乗り越え、生きる気力を与えてくれたミュージカル」と公演の準備に奔走している。出演者はミュージカルを通して、「笑顔と笑顔の懸け橋になりたい」との願いを込める。

福祉ミュージカル「ほほえみのかけ橋」を公演するのはNPO法人キャトル・リーフ(東京)で、病院や特別支援学校、高齢者福祉施設などにミュージカルを届けるボランティア団体。医師の中村明澄(あすみ)理事長が2000年に「入院患者に楽しい時間を届けたい」と友人や医療スタッフと病院の会議室で上演したのがきっかけ。09年にNPO法人化。茨城、東京の病院を中心に年間約20施設で公演している。

04年から年に1本のオリジナル作品を制作。上演時間を短くし、振り付けに手話を取り入れ、舞台がなくても会議室や体育館などでも公演していることが特色だ。

物語は、隣合って住みながら昔からいがみ合う山の民と海の民に、王様が祭りの日に素晴らしい宝物を授けることで勝負を決めると言い渡す。そんな中、二つの民の若者たちはひそかに集まり、友情を育んでいた。しかし山の民の青年と海の民の娘の恋は仲間たちも反対し、ついには長老に引き裂かれる。2人のために、二つの民のために仲間たちが取った行動は…。

ミュージカル開催に情熱を注ぐのは、同市日高町の広原朝代さん。旧十王町観光協会職員時代に発病。9年間の闘病生活を経て、12年2月の退院時には片足を失っていた。入院中に知らないままに大切な人との永遠の別れを経験し、「会いたい人には会い、今できることはやろうと思った。二度と後悔はしたくない」と振り返る。

キャトル・リーフとの出合いは病院のストレッチャーでの観劇。「生きる力をもらうと同時に、日立の人たちに見せたい」と強く思った。入院中からパソコンを使って交流し、退院後、病床で描いた構想を形にした。

公演の2部では、子どものころに難病を患い、13年に50歳で亡くなった同市十王町の女性の詩「ありがとう」に曲が付けられ披露される。

広原さんは「聴いた時、涙があふれた。ありがとうを普通に言えるようにしたい。社会の中にあるいろいろな垣根をなくしたい」と語る。

「ほほえみのかけ橋」は15日にゆうゆう十王・Jホールで午後2時開演。無料で、全席自由。問い合わせは日立市社会福祉協議会(電)0294(37)1122

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