発掘された「顔」楽しむ 土器や埴輪59点 茨城県立歴史館企画展

茨城新聞
2021年10月22日

「顔」の付いた出土品を紹介するユニークな企画展「ふぇいす-掘り出された顔かたち-」が、水戸市緑町の茨城県立歴史館で開かれている。「ひげ面」や「笑顔」など、主に県内で出土した顔のある土器や埴輪(はにわ)など59点を展示。時代や地域によって異なる顔の数々を楽しめる。11月23日まで。

会場内は「縄文」「弥生」「古墳」「奈良・平安」の四つに分かれ、各時代の顔を紹介している。目玉は、弥生時代の二つの骨つぼ。常陸大宮市泉坂下(いずみさかした)遺跡の「人面付壺型土器(じんめんつきつぼがたどき)」と、筑西市女方(おざかた)遺跡の同名土器で、ともに、つぼ上部に顔が付いている。

泉坂下遺跡の土器は、同種の人面付きでは国内最大。ひし形の口が特徴。2014年に国指定重要文化財に指定され、出土した遺跡の名前から「いずみちゃん」という愛称が付いている。女方遺跡の土器は、「いずみちゃん」より背が低く細身で、ひげをたくわえているのが特徴。

そのほか、古墳時代の「笑顔」の埴輪も展示。小美玉市玉里舟塚古墳の「片手を挙げる男子」(県指定文化財)は、明らかに笑っていることがうかがえる楽しい出土品だ。同時代では、行方市大日塚(だいにちづか)古墳の埴輪で、顔にお化粧を施したような「女子1」「女子2」が県内初公開となる。

同館学芸課首席研究員の小沢重雄さん(58)は、「あまり知られていない弥生時代の土器を見てほしい。展示品の中には、自分と似た顔があるかも」と話し、来場に期待している。

午前9時半~午後5時。月曜休館。一般350円、大学生180円、満70歳以上170円、高校生以下無料。今月23、30日は同館による展示解説がある。一橋徳川家記念室展示「一橋徳川家の大奥」と同時開催。問い合わせは同館(電)029(225)4425。

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