蚕入りチップス シルクフード普及目指す エリーと酒田米菓が共同開発

上毛新聞
2021年8月15日

 食品製造会社のエリー(東京都中野区、梶栗隆弘社長)は原料に蚕を使った「シルクフードチップス」を発売した。米菓メーカーと共同開発したせんべいタイプのチップスで、シルクフードの本格普及を目指す。県産の蚕を使ったメニュー開発も続けており、新たな蚕の需要につながるか注目される。

 梶栗社長は大手食品メーカーの県内支店に勤務した後に同社を創業。肉に代わる新たなタンパク質として蚕に着目し、昨年1月から半年間、都内の実店舗でハンバーガーやスープなどシルクフードを試験販売した。

 シルクフードの本格的な普及に向けて発売したチップスは、老舗米菓メーカーの酒田米菓(山形県酒田市)と共同開発した。コメと蚕との比率を試行錯誤し、エビにも似た蚕の風味を生かして香ばしく焼き上げた。無添加、ノンフライで健康面にも配慮している。

 昆虫は地球環境への負担が少ない代替タンパク質として世界的に注目されている。生産に必要な餌や水、土地が少量で済むことから、梶栗社長は「体にも地球にも優しい持続可能な食品として普及させたい」と力を込める。チップス以外の商品も順次拡大予定。今夏から業者向けに、蚕のパウダーやペーストなど原料の販売も開始する。

 シルクチップスは1袋30グラム入り、550円。自社のオンラインショップに加え、大阪市内では実店舗でも販売する。オンラインでの販売は2袋単位。
(関口健太郎)