手間掛けた香り楽しむ 三色そば そば広(茂木)

下野新聞
2021年5月19日

 主人の阿久津広治(あくつひろじ)さん(70)は民営化前の国鉄に18年勤務した元鉄道マン。東京・浅草のそば道場で修業し、50歳で開業した。今年開業20年の節目となる。

 変わりそば「三色そば」(1400円)は、季節によってユズ、ケシ、抹茶、桜のうち2種に普通のそばを組み合わせ、香りを楽しむ。春の「桜」は、香りの強いオオシマザクラの葉を刻み、ミキサーにかけて搾り汁を1晩寝かせ、色の薄い上澄みを麺に練り込む。「ゆで汁には桜の香りが付くほど」という。

 ユズは町内産を秋に仕入れ、果皮の黄色い部分だけをおろし金でおろし、冷凍する。1・5キロのそば粉に果皮150グラムの割合で加えてあり、見た目も香りもユズがしっかり主張する。

 桜は終わり、ユズも保存した分があと4回分ほどで底を突く。「最低3色のそばを用意しないといけないので、この年になると正直体はきつい。でもお客さんが期待して来るからやめられない」と阿久津さん。

 ベースは一茶庵(いっさあん)系の細切りで食感のいい上品な二八そば。つゆは濃いめ。つゆにどっぷりそばをつけずに香りを楽しむそば通が、リピーターになって遠隔地からのれんをくぐっている。

 【メモ】茂木町茂木1601の2。新型コロナウイルス対応で、現在は午前11時半~午後2時半の昼のみ。木曜、第3水曜定休。(問)0285・63・0366。

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