唄に合わせ米と麹混ぜる 伝統的製造方法守り酒造り 大洗の月の井酒造

茨城新聞
2021年2月1日

大洗町磯浜町の月の井酒造(坂本敬子社長)で、伝統的な日本酒の製造方法である「生☆(きもと)造り」が行われている。22日には☆摺(す)りの作業があり、杜氏(とうじ)の酒造り唄に合わせて蔵人らが、力強く米と麹(こうじ)をすりつぶしながら混ぜていった。

通常の日本酒造りでは乳酸は人工のものを使うが、生☆造りでは一から手作業で乳酸を造る。空気中や蔵の壁など自然に自生する乳酸菌を繁殖させる方法で酒造りを行う。

☆摺りは、米や麹をすりつぶし、溶かすことで液状にして乳酸菌が発生しやすい環境をつくる。同社では、杉でできた半切りおけに県産の有機米10キロと麹5キロを入れ、水13リットルを混ぜ合わせて酒のもとになる酒母を造る。

杜氏を務めたのは、石川達也さん(56)。元は竹鶴酒造(広島)の杜氏を務めていた。石川さんは「酒造り唄で時間とリズムを取ることにより、おけごとにむらのない酒母を造ることができる」と唄の意義を強調した。

月の井酒造8代目蔵元の坂本直彦さん(33)は「新しいことにチャレンジしていくことと同時に、伝統を重んじることを大切にしたい」と酒造りの意気込みを語った。

※本文中の☆は、酉の右に元

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