笠間、益子の焼き物一堂に 茨城県陶芸美術館 1月2日から日本遺産記念展 気鋭作家38人近作

茨城新聞
2020年12月26日

「かさましこ~兄弟産地が紡ぐ“焼き物語”~」のストーリーで茨城県笠間市と栃木県益子町が日本遺産に共同認定されたことを記念し、現在活躍する両県の陶芸家38人の近作を集めた展覧会(両市町、同館主催)が、1月2日から31日まで、同市の県陶芸美術館県民ギャラリーで開催される。同館で25日、両市町から山口伸樹市長や大塚朋之町長ら関係者が出席して内覧のセレモニーが行われた。

笠間と益子は、8世紀から須恵器を作っていた共通の歴史があり、11世紀には共に宇都宮氏の支配下にあった。笠間焼は18世紀中期に発祥。その流れをくみ誕生したのが益子焼とされ、「兄弟産地」として同じ焼き物文化圏を形成した。

戦後、両地域の焼き物は存続の危機に陥るも、革新に挑み、多様な作風を許容する産地へ変貌。近年は、自由な環境を求めて多くの陶芸家が集い、高い美意識を追求し、味わい深い生活造形を育んでいる。

本展は「かさましこ」のストーリーや両地域の構成文化財、四季の催しなどをパネルで紹介。メインの作品展示では、両県の気鋭陶芸家の近作を一堂にそろえた。伝統工芸からオブジェ、生活の器に至るまで、笠間と益子の焼き物の多様な展開を俯瞰(ふかん)できる。

開会式で、山口市長は「笠間と益子の長い歴史の中で作家同士の交流はあったが、行政主体の展覧会は初めて。改めて『近くて近い関係』が築けた」、大塚町長は「『かさましこ』の物語は現在進行形。今後いろんな人たちがこの色を塗り替えていくと思う」とあいさつ。金子賢治館長は「笠間と益子では今、人気作家が次々と生まれている。本展がこうした新しい動きに結びつけるきっかけになれば」と力を込めた。

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