鍼灸・アロマサロン開業 失明、難病経て光に向け一歩

上毛新聞
2020年11月19日

 左目を高校時代に部活で失明し、その後、右目に難病を患った男性が今秋、新たな一歩を踏み出した。富岡市の新井崇弘さん(35)は上州富岡駅前に鍼灸(しんきゅう)・アロマサロンを開業した。店名は一筋の光などを意味する「RAY」(レイ)。初めての仕事に苦労しつつも、楽しみながら前を向く。

 駅前の小さな建物の一室は優しい音楽とアロマの香りに満ちていた。一般的な鍼灸に加え、各種マッサージや美容向けのはりなどを施術する。開業して1カ月余りだが毎週通う人も。「自分でメニューを考え、組み立て、お金も頂く。疲れます。でも楽しい」

 失明は富岡高2年、サッカー部の練習試合の時。センターバックで出場し、ボールが左目に直撃した。医者から「視神経が死んでいる。見えない」と言われたが、「そこまでは落ち込まなかった」。ポジションを変えたりして、大学でもサークルで競技を続けた。

 県内企業に就職したが、夜の運転などが難しく5年ほどで退職した。次に勤めた同市の実家近くにある会社の健康診断で、「右目の視力はあるが、映っていない部分がある」ことが分かった。難病の網膜色素変性症と診断された。「さすがにショックでした」

 医者からは、個人差が大きく、30代で見えなくなる人もいれば、そうでない人もいると説明された。仕事や将来のことを考えた方が良いとも言われ、最初に思い付いたのが鍼灸師。高校時代に失明した際、体の調子を整えてくれたのが、全盲の鍼灸師だった。

 県立盲学校で鍼灸などを学び、この春卒業。使われていなかった祖父母の家を活用し、改装した。新型コロナウイルスの影響で工期は延びたが、開業にこぎ着けた。「お金を頂いた上に『ありがとう』と言われる仕事って、なかなかないと思って」。柔らかな光に照らされた店内で新井さんは笑った。

 定休日は毎週水、日曜と第1火曜。電話(☎070-4030-9841)かホームページ、LINE(ライン)などによる予約制となっている。

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