《旬もの》多肉植物、個性派ぞろい 三和園芸(古河市) 

茨城新聞
2020年9月28日

古河市にある三和園芸のハウスに数々の多肉植物が並ぶ。ぷっくりとして肉厚、バラの花のよう、ギザギザ、とんがっているなど不思議な形の葉も、濃い緑や薄い緑、灰白色、赤などの色合いも実にさまざまで個性的。表情豊かな姿は飽きずに眺めていられる。

「ここには200種類以上の多肉植物がある」と同社渉外部長で多肉植物担当の佐山佐智子さん。「見ていると癒やされるのが魅力」と話す。

多肉植物は葉や茎などに水を蓄える特徴を持ち、乾燥地帯に多く自生する。サボテンも多肉植物の仲間。「管理が比較的楽で、水やりが少なくて済む」ほか、雑貨と組み合わせるなどインテリアとしても人気が高い。

器でかわいらしさを演出できるのも魅力

葉の形や色のバランスを見ながら多肉植物を選び、ミニカーや動物の形をした鉢、マグカップ風などの凝った容器に、ピンセットで一つ一つ丁寧に寄せ植えを作る。

場長の鈴木陽大さんによれば、1970年創業の同社は約2万1450平方メートルのハウスを有し、ホオズキ、カンパニュラなどの鉢花や苗物のポットなど多品種を市場や代理店を通してホームセンターや園芸店に出荷する。多肉植物の売り上げは約2割を占めるという。佐山さんは同社が多肉植物を扱うきっかけをつくった人物。2002年から始めたところ好評で、規模を拡大した。

多肉植物は主に親株から挿し木して増やす。ハウスは風通しをよくし、晴れた日は日光で焼けないように寒冷紗(かんれいしゃ)で覆う。天窓は温度や時間などにより自動制御で開閉する。

同社では、土の代わりに吸水性や保水性に優れた特殊なウレタンを使った多肉植物の寄せ植えを受注生産する。東京都中央卸売市場葛西市場卸売業者「東京フラワーポート」と園芸商品の総合会社「ハクサン」が連携する「saxia(サクシア)」というブランドで売り出されている。虫が苦手だったり、部屋が汚れたりするなどの理由で植物を敬遠していた層もターゲットに、手軽に楽しめる園芸の新しい形を提案する。

「この子はウサギの耳のよう、この子はパイナップルみたい」と佐山さんが多肉植物をわが子のように紹介してくれた。自分が作った寄せ植えと店で再会すると、「元気に育ってね。いい人の所にお嫁に行ってねと思う」と親心をのぞかせた。

■メモ
三和園芸
▽住所は古河市仁連990の9(小売りはしない)
▽(電)0280(76)0791