「一橋徳川家記念室」展示再開 宗敬・幹子夫妻を紹介  茨城県立歴史館

茨城新聞
2020年3月21日

茨城県立歴史館(水戸市緑町)の「一橋徳川家記念室」で、一橋家の多数の資料を同館に寄贈した徳川宗敬(むねよし)氏(1897~1989年)と妻の幹子(もとこ)さん(1902~96年)を紹介する展示会が開かれている。大正時代の婚礼衣装などを展示するとともに、2人の業績の一端を取り上げている。同室は所蔵品資料を細かく再確認する悉皆(しっかい)調査のため休室していたが、約1年10カ月ぶりに展示を再開した。会期は4月12日まで。

一橋徳川家は徳川御三卿(きょう)といわれ、御三家と並び称される格式を誇った。家祖は、8代将軍吉宗の四男宗尹(むねただ)。一橋家12世当主の宗敬氏は1984(昭和59)年、同家に伝わる絵画や彫刻、工芸品、古文書など多数の資料を歴史館に寄贈。これらの資料を基に87(昭和62)年に一橋徳川家記念室が開設された。

国の文化審議会は19日、「一橋徳川家関係資料」を国指定の重要文化財(美術工芸品)にするよう萩生田光一文部科学相に答申している。

宗敬氏は水戸徳川家当主・篤敬(あつよし)の次男で、後に一橋徳川家の養子となり同家を相続。最後の貴族院副議長で、サンフランシスコ講和会議では全権委員として臨んだ。そのほか伊勢神宮の大宮司、日本博物館協会長なども務めた。一方、林政を学んで大学でも教授し、「緑化の父」として国家の緑化事業に長年携わった。

今回の展示では、林政史に関する草稿や、各地で行われた全国植樹祭での宗敬氏の写真を掲載。また、長く幼稚園長を務めたことにも触れ、園児との心温まる交流などを紹介している。

妻の幹子さんは鳥取池田家当主・仲博(徳川慶喜五男)の長女で、戦後、全国開拓者連盟婦人部の初代部長などを務めた。今回の展示では、13歳の時に描いた見事な日本画や、戦後に水戸に開拓民として入植した時の状況、設立に奔走した県婦人会館事業などを紹介している。

また、100年前の1920(大正9)年の2人の婚礼時の衣装である直垂(ひたたれ)や打ち掛け、烏帽子(えぼし)や末広なども展示している。

一橋徳川家記念室では7月以降、一橋徳川家の名品を紹介する展示会も予定している。

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