《旬もの》結城酒造(結城市) 女性杜氏醸す柔らかな味

茨城新聞
2019年12月15日

甘く華やかな香りが満ちる酒蔵で、結城酒造の杜氏(とうじ)、浦里美智子さん(42)が大きなタンクに入ったもろみを丁寧に攪拌(かくはん)する。4月まで続く酒造り。10月末に仕込んだ新酒が12月初搾りを迎えた。

同社は江戸時代の創業。国登録有形文化財である酒蔵やれんがの煙突は今も現役。伝統が息づく雰囲気の中、家族経営で酒造りが行われる。

12年前、美智子さんは同社社長の浦里昌明さんと結婚した。杜氏は日本酒の製造責任者。酒蔵の後継ぎが女性杜氏になるケースは多いが、他から嫁いで杜氏になるのは珍しいという。

酒造りを始めて8年目。美智子さんが目指すのは「柔らかくふくよかな味わいの酒」。口当たりのよい、初めて日本酒を飲む人にも優しい味わいを理想とする。

岡山県産の酒米「雄町(おまち)」や結城市産の飯米「一番星」など米の種類や精米歩合を変えた純米吟醸酒や純米大吟醸など銘柄「結(むすび)ゆい」を手掛ける。同市の書家がデザインした、結城紬(つむぎ)の「糸」の輪の中におめでたい「吉」が入るラベルは、おいしい酒と人と街を結びたいという思いが込められる。

美智子さんは結婚後、酒造りには直接携わらなかったが家業を手伝っていた。そのときに飲んだ、搾りたての日本酒のおいしさに驚き、日本酒を飲み比べるようになった。

転機は8年前、県工業技術センター(現・県産業技術イノベーションセンター)の清酒製造研修に参加したこと。酒造りの厳しさを知り、逆にやる気になった。その年の秋に純米吟醸酒造りを任されたところ好評だったという。

同社は当時、香典返しなどに使われる普通酒を主に生産していたが、大手の攻勢で経営が厳しかった。美智子さんの酒造りを機に、純米吟醸酒や純米大吟醸といわれる「特定名称酒」に活路を見いだした。

「技術力の裏付けがほしい」と日本酒鑑評会やコンテストに応募。全国新酒鑑評会で金賞を受賞するなど好成績を収めている。

11月、美智子さんは地元杜氏の育成を目指し新たに創設された「常陸杜氏」1期生の認定を受けた。 「まだまだ杜氏として経験は浅いが、酒質の向上を目指し、真面目に取り組んでいきたい」とひた向きだ。

■メモ
結城酒造
▽結城市結城1589
▽(電)0296(33)3344

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