道の駅いたこ 「フォー」2品新発売 カレー、冷やし コメ消費拡大、名産化へ

茨城新聞
2019年8月21日

米どころとして知られる潮来市で、コメの消費拡大を狙いベトナム料理に目を付けた商品開発が進んでいる。コメを原料にした麺「フォー」を販売している同市前川の道の駅いたこで、今夏、涼を演出する新商品が誕生した。ぴりっと辛い「カレーフォー」と涼やかな「冷やしフォー」の2品で、新たな味を加え、名産品としての定着に弾みをつけたい考えだ。

米粉麺を使ったフォーは2018年4月、米どころアピールを狙い、販売を開始した。低カロリーで軟らかい麺は、幼児から高齢者まで食べやすいのが魅力。道の駅の一角、淡い紫色とクリーム色の外装がかわいらしいキッチンカー「モット君」で販売している。

米粉麺の誕生は18年の販売開始から1年半前にさかのぼる。コメの消費を増やそうと、同市や商工会などで組織する「水郷潮来プライド米プロジェクト事業」が、コメの6次産業化に着手した。そこで提案されたのがコメから作る生麺。米粉麺の乾麺は国内で流通しているが、生麺は全国的にも珍しかった。

開発に関わった同道の駅の給前優さんは「ノウハウのないゼロからのスタートだった」と振り返る。一番苦労したのは麺作りだ。粘りけのある日本米は不向き。品種改良でべたつきのない「夢十色(ゆめといろ)」を作り、同道の駅にコメを出荷している市内の農家に作付けを依頼した。製麺機はベトナムに買い付けに行った。スープやトッピングなども吟味し、市内で働くベトナム人と意見交換会や都内のベトナム料理店への視察などを繰り返し、作り出した。

販売当初は、定番のビーフ・フォー1品だったが、外販を可能にするキッチンカーの導入を機にチキン・フォーも発売。定評を得た味の拡大へ向け「今が正念場」と、夏の新商品発売に至った。

今後は、生麺の小売りを含め、販売促進に力を入れたい考え。生の米粉麺を直売所で販売する予定もあり、まとまった米粉麺を生産できる、大きな機械もベトナムで買い付けた。給食メニューに加え、子どもたちに地域の食を味わってもらうことも目指す。

市内の農家では後継者がおらず、廃業を迫られるケースもあるという。給前さんは「コメの6次産業化を軌道に乗せ、若い世代が『農業やってみたい』と手を挙げてもらえる環境づくりをしたい」と意気込む。(松浦かえで)

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