《上州食三昧》アジア料理(下)中東 西洋と融合、多彩な味 肉、煮込み…自信の一品

上毛新聞
2019年5月28日

 日本から8000キロ以上離れた中東ではケバブのような肉料理や、豊富な野菜を使った料理が有名だ。アジアと西洋の文化が交わる場所で育まれた料理はバラエティーに富む。

 イランのペルシャ料理を気軽に楽しんでほしいと、ケバブカフェノールズ(高崎市通町)は2017年4月に開店した。店を切り盛りするファロキー・アキラムさんは「おいしくて、また食べたくなる料理ばかり」、長女のアミネ・マリさん(31)も「もっとイランの料理を知ってほしい」と意気込む。

 肉料理のドネルケバブのほか、家庭風の煮込み料理が売りだ。クルミの粉末と特産のザクロのペーストで鶏肉をじっくりと煮込んだフェセンジュン(1100円)、トマトやナス、ニンニクなどの煮込みをナンと一緒に食べるミルザガセミ(1150円)はランチの人気メニュー。

 紅茶にもこだわる。「角砂糖を口にふくみ、流し込むように飲むのがイラン流」とマリさん。店では水たばこ(大人のみ、紅茶付き、1500円~)も体験でき、異国の文化を満喫できる。

 客層は高校生から60代までと幅広く、週末には家族連れも訪れる。高崎まつりや地域のイベントにも参加、地元に溶け込んでいる。

 ホテルのニューサンピア(同市島野町)は北関東では珍しいアラブ料理(レバノン料理)を館内のレストランで提供する。ゴマやレモン、オリーブオイルやヨーグルトを使ったヘルシーな料理が受け、企業の接待や女子会などで人気という。

 群馬大医学部で研究に励む中東出身の医療関係者に現地の料理を食べさせたいと、ホテル経営者が11年に発案したのがきっかけ。フランス料理が専門という洋食料理長の赤尾光二さん(40)は都内のアラブ料理店に通い、シェフから作り方を学んだ。

 現地の出身者に繰り返し試食してもらい、満足できる味を追求。「ゼロからのスタートで大変だったが、自分の作る料理の幅が広がった」とする。ラム肉の串焼きのシカフガナムや、多様な野菜を使った前菜は自信の一品だ。

 イスラム教の戒律に沿った「ハラル」の食事で、豚肉やアルコール類などは使わない。現地の言葉で祈りをささげてから料理を作り始める。コース料理(3千円~)を用意するため、1週間前に予約が必要。長沢幸彦支配人(56)は「食は人を幸せにする。ちょっと変わった料理を楽しみ、海外の文化に触れてみては」と勧める。