山百合の里、努力開花 行方の住民団体

茨城新聞
2017年7月14日

ヤマユリ1万本以上が咲き誇り、にぎわいを見せる行方市井上の「山百合(やまゆり)の里」。住民たちが「地元を盛り上げたい」という一心で20年間整備してきた努力が実った。駐車場は「はとバス」など県内外の観光バスや個人客の車でいっぱい。かつて無名だった里山が行方を代表する一大観光地となった。住民主体の山百合まつりが13日、開幕した。

里山を整備するのは、地元住民らでつくる「井上山百合の会」。約60人のボランティア会員が、オフシーズンも里山の草刈りや遊歩道、あずまやの整備に努めている。

一般公開するようになったのは1998年。同会初代会長の関野謙一さん(68)が、実家が所有する約5千500平方メートルの山にスギ、ヒノキを植林していて、ひっそりと咲く数本のヤマユリに気付いたのがきっかけだった。

「森の貴婦人」ともいわれるヤマユリ。下草を払うなど手入れをするうち、徐々に数が増えた。友人に見せると、「こんな素晴らしいヤマユリを自分だけ見るのはもったいない」と言われ、一般公開を開始。隣接する西蓮寺の檀家や地元住民らで同会を発足させ、まつりを始めた。

当初、客足は全くなかった。整備費はかさみ、赤字続き。里山保全のため取り始めた入山料に批判の声もあった。「なんとか認めてもらいたい」と踏ん張った関野さん。「全国やまゆりサミット」の誘致活動に尽力、2007年の同市開催を実現させた。

営業活動にも力を入れ、東京観光などの老舗「はとバス」の誘致に成功。都内からの多くの客が来場すると、他のバス会社も次々とツアーを組んだ。地元の行方市の花にはヤマユリが制定され、市のマスコットキャラクターのモチーフになった。

苦節20年。「観光で地元を盛り上げるため、はとバスをどうしても呼びたかった」と振り返る関野さん。現会長の妻とよ子さん(66)は「何度も挫折しそうになったが、『来年も来るから頑張って』というお客さんの言葉と、メンバーの支えでここまでこられた」と涙ぐみ感謝する。

近年、まつりをさらに盛り上げようと、ユリ根を使ったコロッケや漬物を入れた「ゆりね弁当」を開発、販売。田園風景をバックにオカリナコンサートを開くなど、観光客を喜ばすことに懸命だ。アジサイやホタルブクロ、ヒガンバナも整備し、通年型観光地への取り組みも始めた。

まつりは24日まで。里山保全の賛助金として入山料300円。期間中、同会メンバーが冷たい麦茶、ゆでた新じゃがいもを提供し、訪れた観光客を笑顔でもてなしている。

「一人でも多くの人に来てもらい、この景色に癒やされてほしい」。関野さんらメンバーの夢は広がり続ける。 

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