結城のトウモロコシ「味来」 甘み、味の良さ人気

茨城新聞
2016年7月30日

結城市のトウモロコシ農家が、品種「味来(みらい)」を導入して今年で20年となった。最大の特徴である甘みと味の良さが人気で、売れ行きは右肩上がりを続けてきた。生産者の夏場の安定した収入につながっており、生産者は「今後もおいしいトウモロコシを作っていきたい」と意気込む。

同市の味来は「夏祭り」と名付けられ、独自ブランドとして販売。比較的小ぶりの品種だが、旬の時季には糖度20度と果物並みの甘さになる。同市はもともと、主に秋から春に栽培される白菜やレタスなどの産地。夏に畑が空くことに加え、連作障害が課題となっていた。そこでトウモロコシに白羽の矢が立った。

当初はピーターコーンと呼ばれる品種を生産したが、品種改良で大型化するのに伴い味が落ちてしまったという。生産者は「量より質にこだわろう」と味来への転換を決めた。

その後、甘さややわらかい食感、収穫から時間がたっても糖度が落ちにくいなどの特徴から、根強い人気を獲得していった。

JA北つくば結城園芸部会トウモロコシ部の宮田理也(みちや)部長(59)は「味来にこだわっているわけではないが、超える品種が見つからない。同じ品種で20年もやってきたことは今までなかった」と語る。

当初4ヘクタールだった味来の作付面積は現在、同部会所属の生産者だけでも約225ヘクタールに伸びた。出荷は東京の市場を中心に一夏35万~40万ケースに上る。年によって価格の上下も少なく、安定した収入につながっているという。

宮田部長は「これからも味にこだわってトウモロコシ作りをやっていく」と力を込める一方、「味来が売れ続ける保証はない。別の品種にも挑戦し、産地としての生き残りを図っていく」と先を見据えた。

味来は8月上旬まで同JAの農産物直売所「きらいち結城店」などで販売される。

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