藤田東湖の書 「麗澤」弘道館に寄贈 17日から公開
水戸藩9代藩主徳川斉昭を支えた学者、藤田東湖が亡くなる直前に、儒学者で友人の芳野金陵に贈った書「麗澤」が、水戸市三の丸1丁目の弘道館に寄贈された。金陵のひ孫・赳夫さん=東京都=が「東湖の書は水戸に」との思いから寄贈を申し出た。友人が互いに助け合いながら学ぶことを意味する「麗澤」。東湖の人物像もうかがえる歴史的に貴重な書で、弘道館は一般公開を予定する。
「麗澤」は、東湖が1855(安政2)年10月2日に起きた安政の大地震で圧死する日の前日、江戸の金陵宅を訪れ、酒宴を受けたお礼に贈ったものという。
縦47センチ、横90・5センチの布に書かれ、これまで赳夫さん宅に長く飾られていた。安政2年の秋を示す「安政乙卯秋日」と、東湖の名である「彪(たけき)」を含む「常陸藤田彪書」の文字が添えられている。
金陵は江戸幕府に仕えた儒学者で、異国の脅威に備え、東湖とは危機感を共有する同志だった。東湖を研究する鈴木瑛一茨城大名誉教授は「どんな文字を贈ろうと、東湖は考え抜いて麗澤を選んだのだろう。2人の友情の深さが分かる貴重な書だ」と評価した。
赳夫さんは自宅に残る金陵の関係資料は、金陵の出身地である千葉県柏市と、日本漢学研究に優れた二松学舎大に寄贈したが、「東湖先生は水戸出身だし、水戸にある方が喜ぶと思った」と考え、寄贈に至った。
16日は弘道館で、橋本昌知事が赳夫さんに感謝状を贈呈。橋本知事は「素晴らしい書を寄贈していただいた。麗澤は多くの人に知ってもらいたい言葉だ」と感謝した。
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弘道館は「麗澤」を17~22日に公開するほか、2人に関するパネル展示も行う。各日午前10時と午後1時半には学芸員による解説がある(21日は午前10時のみ)。午前9時~午後5時。大人200円(満70歳以上は無料)、小中学生100円。問い合わせは弘道館事務所(電)029(231)4725。
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