鬼押出し浅間園・火山博物館 火山災害 学ぶ場に 長野原町が施設改修 防災啓発の機能強化

上毛新聞
2016年4月11日

ㅤ浅間山(群馬、長野県)の噴火警戒レベルが昨年、「2」(火口周辺規制)に引き上げられたことを契機とし、長野原町は「鬼押出し浅間園・浅間火山博物館」を改修し、起こり得る火山災害について学び、防災に役立つ施設として機能強化する。近隣自治体と共同して対策に取り組む噴火の被害想定について知らせるパネルなどを展示する。町が力を入れる「浅間山ジオパーク構想」への理解も促し、観光振興と合わせた拠点として22日に再オープンする。

ㅤ浅間山は昨年6月、6年ぶりに小規模噴火し、同レベルが「1」(活火山であることに留意)から引き上げられた。施設は浅間山火口から約4キロの嬬恋村鎌原に位置。町は、浅間山の正しい情報を知った上で自然を楽しめるよう施設を改修することにした。
ㅤ火山災害関連のパネル展示は積雪が火砕流で解けだし、大量の土砂や火山灰とともに広域に被害をもたらす融雪型火山泥流や気象庁による緊急火山情報、町作成のハザードマップなどの内容を盛り込む。火山災害があった場合の緊急的な避難場所となることも想定している。
ㅤ町は改修費用として、約1500万円を投入する。1783(天明3)年の大噴火を伝える展示は継続するほか、嬬恋村などと進めるジオパーク構想を周知するため、地質的に貴重な自然の遺産も紹介。外国人を念頭に、観光客のインターネット環境を改善しようと、無線LAN「WiFi(ワイファイ)」を整備する。
ㅤ施設は1967年に開園。93年に当時の最新技術を駆使した火山博物館を設けた。2003年度に9万人を超えた博物館の来場者は徐々に減り、小規模噴火のあった15年度は前年度より3割以上減の2万9千人と厳しい状況となった。
ㅤ町は将来的に、施設と火口付近を結ぶ登山道を整備することも構想する。「噴火警戒レベルは維持されるが、周辺の自然を理解してもらえるようリニューアルした」と説明している。

 

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