上野三碑 見学681人 関心高く 記憶遺産候補後 初の一般公開 「美術品的美しさ」に感激
高崎市内の三つの古代碑「上野三碑(こうずけさんぴ)」(山上碑、多胡碑、金井沢碑)が国連教育科学文化機関(ユネスコ)世界記憶遺産の国内候補に選ばれてから初めての一般公開が6日行われ、計681人が見学した。多胡碑に近い吉井文化会館では三碑と、同時に国内候補になった「杉原リスト」(岐阜県)の価値を伝えるシンポジウムも開かれた。5月のユネスコへの申請を前に、国際シンポジウムも予定され、県民の三碑への関心がますます高まりそうだ。
覆屋(おおいや)の中にある三碑は、多胡郡が設置されたとされる3月9日に近い日曜日に覆屋の中に入れる「一般公開」が行われる。この日は国内候補となって初の一般公開で、来場者は三碑合わせて681人と、昨年を56人上回った。
多胡碑の来場者は前年比24%減の320人だったが、山上碑は2倍の214人、金井沢碑は1・5倍の147人と大幅に増えた。高崎市教委は「知名度が低い二碑で増えたのは国内候補になった効果」と分析している。
三碑には朝から来場者が詰め掛け、一時行列もできた。写真を撮ったり、解説員に質問しながら、熱心に見学していた。多胡、山上両碑を見て回ったという同市の会社員、上野哲哉さん(47)は「美術品的な美しさを感じた。特殊な彫り方で文字が際立っていた」と感激していた。
吉井文化会館のシンポジウムでは、三碑と杉原リストの歴史的な価値を専門家が解説。上野三碑世界記憶遺産登録推進協議会の横島庄治会長は「1300年の古代ロマンと命を懸けた男のロマンを大切して、世界に発信していきましょう」と決意を新たにした。
三碑の国際的な価値を伝え、県民の登録に向けた機運を高めようと、県は来月にも、日中韓3カ国の専門家を招いた国際シンポジウムを同市内で開く。
二つの国内候補は5月にユネスコに登録申請され、来年夏ごろにユネスコ国際諮問委員会が登録の可否を審査する。
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