好文亭「天袋」の絵再現 水戸・偕楽園 25日まで公開

茨城新聞
2022年9月7日

偕楽園(水戸市)にある「好文亭」の萩の間で、約53年前の火災により焼失したふすま上部の「天袋」の絵が再現され、初公開された。同園の開園180年記念事業の一環。同園で開催中の「水戸の萩まつり」が終わる25日まで。

好文亭は1945年の水戸空襲で全焼。萩の間のふすま絵は55年から始まった復元工事に合わせ、東京芸大日本画教官の須田珙中(きょうちゅう)が制作。ふすまの下部14面と天袋4面に萩と月を描いた。しかし、69年に落雷で再び奥御殿が全焼。ふすまの下部は運び出されて難を逃れたが、天袋部分は焼失。72年の奥御殿復元の際、同大同教官の田中青坪(せいひょう)が太陽とスズメを描いた新たな絵で天袋が補われた。

この日公開された天袋の絵は、同市出身の日本画家谷津有紀さんが、落雷前の写真や資料を基に珙中作の天袋を模写して再現した。谷津さんは「月のカーブの接続や萩のボリューム感をどう自然に見せるかが難しかった。文化財の保存や継承を考えるきっかけになるといい」と語った。

26日以降は青坪作の天袋に戻る。