醸造再開 初ワイン27日発売 茨城・牛久シャトー 全工程、施設内で

茨城新聞
2022年5月27日

牛久シャトー(川口孝太郎社長、茨城県牛久市中央)は、ワイナリー再開後、初めて醸造したワイン「牛久葡萄酒 Merlot(メルロー)2021」を27日発売した。牛久シャトー内の畑で栽培したブドウを使用し、醸造から瓶詰めまでの全工程を同施設で行った。同社は「牛久シャトーにとって新たな一歩。多くの人に飲んでほしい」と期待する。

同市の観光振興につなげようと、ワイン文化日本遺産協議会(会長・根本洋治市長)と共同で開発した。ワインは、同施設で育てた赤ワイン用のブドウ「メルロー」を使用した。甘く優しい香りと爽やかな酸味が特徴。アルコール度数は13・5%。1本750ミリリットル瓶で、価格は4000円(税込み)。同施設の土産店などで販売する。

ラベルには同施設で明治から大正にかけて製造されたワインの包装紙デザインを使用した。

同社は「牛久葡萄酒」に合わせて、ラベルを一新した「牛久メルロー2021」も発売。創設者の神谷伝兵衛の「傳」の文字をデザインして中央に配置した。

牛久シャトーは、実業家の神谷伝兵衛が1903(明治36)年に創業。日本最初期の本格的なワイン醸造施設として、ブドウの栽培から醸造、瓶詰めまでを一貫して行っていた。2018年12月に飲食・物販事業が撤退し、ワインの醸造も休止していた。その後、同社が21年6月に酒類製造免許を取得し、同8月にワインの仕込みを開始するなど準備を進めてきた。

同社の担当者は「歴史を伝えつつ、未来に向かって歩むという思いを込めて作った。新たな歩みを進めたい」と話した。