描いた日常風景400点 色鉛筆画家・安藤勇寿さん 佐野「少年の日美術館」20周年
【佐野】幼い頃の日常風景を独特の柔らかいタッチで描く色鉛筆画家安藤勇寿(あんどうゆうじ)さん(70)の作品を展示、所蔵する御神楽(みかぐら)町の「安藤勇寿『少年の日』美術館」が5日、開館20周年を迎えた。この間発表した作品は500号の「泣きむし」など大作を含む約400点。「どれも自分の分身みたいもの」と目を細める安藤さんは、「これからも自分のペースで書き続けるだけ」とますます意気盛んだ。
都内の美術専門学校を出た安藤さんは、雑誌や新聞の挿絵を描くことで画家としてのキャリアをスタートさせた。「その際、さまざまな画材で表現したが、色鉛筆の繊細さが一番しっくりときた」という。
さまざまな絵を描き続けるうちに迷いも出てきた。「いったい自分は何を描きたいのか」。その答えを見つけるため佐野の実家に戻りたどりついたのが、「菜の花畑」「バス停」といった「少年時代の日常風景」と安藤さんは振り返る。
「皆さんに常時見てもらえるような環境をつくりたい」という夢をかなえ、古里に美術館を建設したのは2002年5月5日。50歳の時だった。旗川沿いの竹林を切り開き、シンメトリー(左右対称)のシンプルな外観にこだわった。
新型コロナウイルス禍前の来場者は年間3万人近くに上り、「拠点ができたことで人のつながりの大切さを知った」と話す。20年間の感謝を示すため、市役所にこのほど、紅梅やカタクリの花などを描いた作品4点を贈った。
今も現役にこだわり、「毎日6時間は色鉛筆を握っている」という安藤さん。新作原画展は8月28日まで開かれている。
(問)同美術館0283・67・1080。