ファン拡大に向け 富岡製糸場にQRコード続々
群馬県富岡市にある世界文化遺産、富岡製糸場や周辺商店街にQRコードが増加している。写真撮影用や動画紹介、ガイドの多言語対応といったさまざまな機能のQRコードが続々と登場。ファン層の拡大を狙い、広く普及したスマートフォン(スマホ)を活用する新サービス提供の動きが盛んになっている。
大型連休を前に、製糸場内7カ所に写真共有アプリ「インスタグラム」で使うQRコードが設置された。スマホで読み込むと、画面にイラストが表示され、一緒に写真が撮れる仕組み。カイコの幼虫や市のマスコットキャラクター「お富ちゃん」など設置箇所によって登場するイラストが変わるため、撮影しながら場内をくまなく周遊できる。
インターネット関連事業を手掛けるプロビジョン高崎営業所が技術開発した。若者世代を代表し、アイデアを提案した高崎商科大3年の飯塚麻由さん(20)と板垣美虹みこさん(20)は、「ここで撮った写真を見てまた新しい人が来る。そんな循環が続いてほしい」と呼び水効果に期待した。
製糸場を管理する富岡市は、若い女性層を呼び込むための試みとQRコードの設置意図を説明。「産学官で知恵を出し合った。反応が楽しみ」と話している。
国宝指定された「繰糸所」内には、動画投稿サイト「ユーチューブ」で解説動画を視聴できるQRコードが置かれ、繭から糸を取り出す「繰糸」の作業工程を確認できる。これまでは繰糸所内の大型画面で放映していたが、新型コロナウイルス対策としてスマホで試聴できるようにした。
同じく国宝の「西置繭所」には、ガイド音声のアプリを取り込むためのQRコードを掲示。日本語版では著名な声優や、浪曲師らによる音声ガイドが無料で楽しめる。英語や中国語などにも対応している。
QRコードは製糸場の外にもあふれる。観光客に街歩きを楽しんでもらおうと、市観光協会が、古い建物や通りの歴史、横丁の名前の由来などが書かれた案内板44カ所に多言語対応のQRコードを設置した。読み込むと英語、中国語、フランス語の文章が表示される。
協会は「『トリビア』的な案内板で、富岡の街に愛着を持ってもらい、外国人客にリピーターになってもらいたい」としている。