伊能忠敬の功績紹介 複製地図や測量道具展示 茨城・つくば 国土地理院で企画展 12月19日まで

茨城新聞
2021年11月23日

江戸後期に日本地図の測量を行った伊能忠敬(1745~1818年)を紹介する企画展「伊能図~近代地図の原点」が、茨城県つくば市北郷の国土地理院地図と測量の科学館で開かれている。忠敬が手掛けたさまざまな縮尺の日本地図「伊能図」を展示。忠敬没後に弟子たちが完成させてから200年に当たり、同館は「伊能図の面白さを知ってほしい」と話している。12月19日まで。入場無料。

忠敬は1800年、55歳の時のえぞ地(現北海道)を皮切りに、16年の第10次まで測量を行い、北海道から九州まで実測による日本地図を作った。忠敬は18年に死去したが、弟子たちが21年に「大日本沿海輿(よ)地全図」を完成させ幕府に上程した。

測量隊が作製した地図は、縮尺が違う大中小の3種がある。実測した大図(縮尺3万6千分の1)は214枚、大図を縮小した中図(同21万6千分の1)は8枚、小図(同43万2千分の1)は3枚。今回は3種類の複写や複製、当時の測量道具を並べた。

伊能忠敬が測量に使った道具「中象限儀」のレプリカ=つくば市北郷

 

大図は1枚が1畳あり、会場の床に関東の約10枚を敷き詰め、来場者はその上を歩ける。忠敬が歩測した際の歩幅(69センチ)も体験できる。中図は明治時代に地理院の前身である参謀本部陸地測量部などが模写した収蔵品を特別公開した。伊能図は日本画家らの技術で細密に作られ、街道や城、地名が読み取れる。山は東西南北の方向から描かれているのが特徴だ。茨城県の部分は海岸線の地名と筑波山のみが記された。

東北の地図では、鳥海山が噴煙を上げる様子が見られ、八郎潟(はちろうがた)はまだ干拓されていない。中国地方では瀬戸内海のほとんどの小さな島々が描写されている。

地理院では「200年前の地図の精密さが今と変わらない。技術の高さを見て感じてもらえれば」と説明した。

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