機械仕掛け、面白さ堪能 木製時計、からくり100点 水戸で企画展
木材で作られた機械仕掛けで動く「オートマタ」と、チクタクチクタクと温かみのある音で時を刻む木製の機械式振り子時計。水戸市備前町の常陽史料館で開催中の企画展「木で作る時計とからくりおもちゃの世界」は、機械の仕組みを学べたり、その面白さを味わえたりする。約100作品が、訪れる親子連れを楽しませている。会期は9月19日まで。
制作したのは、茨城県ひたちなか市在住の田村誠司さん(80)と川瀬英幸さん(72)。ともに、NPO法人ひたちなか理科クラブに所属し、同市教委のサイエンスサポーターとして小学校の理科授業の支援活動を行い、理科の面白さを教えている。
田村さんは、孫の誕生を機に木工おもちゃ作りに取り組み、ある書籍との出会いでオートマタに魅了されていったという。
中でも目を引くのが、ニワトリの親子が餌をついばむ「大家族」。取っ手を回すと、2匹のニワトリと18匹のヒヨコが交互に餌をついばむ。ニワトリの親子に付いた釣り糸で、シーソーのように上下して動く仕掛けだという。
ほかに、うちわで風を送って動かせる「風力自転車」や、電気で動く「はらぺこ青虫」、人の模型が踊る作品「エグザイル」など、オートマタの面白さを体験できるコーナーもある。
一方の川瀬さんは、物作りを趣味にしたいと、退職後に機械式振り子時計に出会った。現在、自宅一角で工房「シー・エム工房かわせ」(ひたちなか市中根)を構え、機械式振り子時計などの製作を行っている。
川瀬さんの作品は、約2・5キロの鉄の重りで5組の歯車を動かし、振り子でスピードを制御しながら分針を動かす立ち時計などが目を引く。木材は、チークなどの無垢(むく)材も用いられているが、機械の部分はゆがみや変形が出づらい合板を使っているという。「重りは2、3日かけ上から下へゆっくりと動いていく」という。
また、今展に向けて2人の合作の立ち時計も見どころの一つ。30分ごとに時計のスイッチが入り、オートマタが動き、黄色、緑、赤のビー玉が自転車のベルに当たり、チンチンと音が鳴る仕組みとなっている。
家族で訪れた、水戸市内の小学校に通う小学3年生、滑川順大君(9)は「ボタン一つで動くのは不思議。実際触れるのは楽しい」と夢中になっていた。母親の裕子さん(41)は「コロナ禍で遠出できない。勉強にもなる」と見入っていた。
同館の開館時間は午前10時~午後5時45分。毎週月曜と8月8日から10日まで休館。
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