全線復旧、思い新た 記念列車にファン笑顔 常総線

茨城新聞
2015年11月29日

 線路が浸水し不通になるなど、鬼怒川の堤防決壊で大きな被害を受けた関東鉄道常総線の全線完全復旧を記念した特別臨時列車「復旧列車」が28日、水海道-下妻駅間(18・6キロ)で運行された。地域住民や鉄道ファンらが乗車し、車内の写真展示や、いまだ水害の爪痕が残る車窓の風景を目にしながら、復興への思いを新たにした。

 復旧列車は、関東鉄道(土浦市)が運行再開への支援や応援への感謝を込めて企画した。常総線は今回の水害で常総市を中心とする延長17・4キロで線路が浸水。三妻-南石下駅間では線路が曲損し、今回の運行区間が最も復旧に時間を要した。

 4両編成の特別列車は、往路は午前10時10分に水海道駅を、復路は午後2時12分に下妻駅を発車。決壊当時は濁流があふれ、今も稲が倒れたままの田んぼや、曲がった線路を復旧した地点では、徐行運転して、水害時の様子や復旧作業について、車内アナウンスで説明された。

 孫2人と乗車した常総市の深谷順子(よりこ)さん(61)は避難所生活を送った後、ようやく自宅の復旧作業に取りかかった。深谷さんは「(孫が)鉄道が大好きなので記念列車に乗せたかった。生活に欠かせない足なので、元に戻って良かった」と喜んだ。東京都立川市の宮崎博之さん(51)は「田園風景を走る列車をまた見ることができて、うれしい」と話した。

 車内には、社員が撮影した水海道車両基地の水没した様子や、住民が市内の被害状況を記録した計130点の写真も展示。関東鉄道の高橋眞一鉄道部長は「たくさんの方々の支援や応援で運行再開にこぎ着けた。感謝の意を込めて、元気な姿を伝えたかった。復興に向け、一緒になって頑張っていきたい」と決意を新たにした。

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