「集中曝涼」の動画配信 常陸太田市教委 茨城大生解説 今月下旬から順次

茨城新聞
2021年1月15日

新型コロナウイルスの影響で、常陸太田市教委は、同市内の貴重な文化財を虫干しを兼ねて一般公開する本年度の「集中曝涼(ばくりょう)」をリモートで行う。感染拡大の懸念から現場での公開が中止となったのを受け、インターネット上での「リモート曝涼」の開催を決めた。茨城大の学生ボランティアの解説を交えながら各文化財を紹介する動画を既に撮影しており、今月以降に順次、市ホームページなどで公開していく。

集中曝涼は毎年10月に実施。虫干しを兼ねて、市民らが普段目にできない仏像や古文書を公開することで、地域の歴史や文化を身近に感じてもらい、地域の宝を守っていく意識の高揚を図る狙いがある。

リモート曝涼は、コロナ禍で各会場での公開ができない中、多くの人に市内の文化財を知ってもらおうと企画。動画では、学生ボランティアたちがそれぞれ担当する文化財について調べた内容を基に、由来や伝来、エピソードなどを紹介。中には、事前に現地に足を運び、紹介文をまとめた学生もいたという。

撮影は10、11月の土日を利用し、市民グループ「常陸太田ビデオ研究会」のスタッフが行った。

同市上宮河内町の菊蓮寺(安西仁人住職)では、3人の学生が緊張した表情でカメラの前に立ち、声の大きさや話すスピード、表情などのチェックを受けた後、撮影に臨んだ。

茨城大3年の渡辺大暉さんは「伝える情報の選択が難しく、どうすれば伝わるかを考え、やさしい表現を心掛けた。いろいろな調べものをすることで視野が広がった」と収録を終え、ほっとした表情を見せた。

安西住職は「コロナ禍でなかなか来ていただけないので、映像での紹介も常陸太田の魅力を発信する方法の一つとして良いのでは」と期待。「(感染収束後などに)また、足を運んでもらい、周りの風景や歴史などを五感で体感してもらえれば」と話した。

撮影は寺院や史跡など全12カ所で行い、各3~5分程度に編集して、動画投稿サイト「YouTube(ユーチューブ)」の同市公式チャンネルや市ホームページで今月下旬から順次配信する予定。市教委は「会場開催ができなくても、常陸太田の文化財を知ってもらう機会になれば」としている。

動画を配信するのは、ほかに、中染阿弥陀堂(中染町)▽西光寺(下利員町)▽旧町屋変電所(西河内下町)▽久昌寺(新宿町)▽太田一高(栄町)▽青蓮寺(東連地町)▽来迎院(大里町)▽香仙寺(松栄町)▽中野富士山古墳(中野町)▽星神社古墳(小島町)▽梵天山古墳(島町)