祭りとともに根付いた味  しんこまんじゅう 太田屋(佐野)

下野新聞
2020年11月16日

 田沼町の一瓶塚稲荷(いっぺいづかいなり)神社が多くの参詣者でにぎわう毎年3月の初午(はつうま)祭り。この祭りと切っても切り離せぬ味として地域住民に親しまれているのが、米粉を原料とした「しんこまんじゅう」だ。

 創業150年余りの歴史を誇る太田屋の5代目阿部正史(あべまさし)さん(60)は「しんこという名前の由来は、信仰や上新粉と伝えられています」と解説する。同店に伝わるしんこまんじゅう(つぶあん、こしあんともに100円)は、仕上げに花びらや葉を表すピンクや黄色、緑色の生地を乗せるのが特徴。「花まんじゅう」と呼ばれるゆえんでもある。

 かつて祭り期間を含めた年間4日程度だった販売期間は、時代とともに徐々に拡大された。だが、現在も店頭に並ぶのは11~5月上旬ごろに限られる。「しんこまんじゅうは温度や湿度に敏感で、暑いと口触りが悪くなる。気温25度をボーダーラインとしています」と阿部さん。

 最近は「医食同源」をテーマに掲げ、健康食品としての実用化が進むオリゴ糖を使用。「伝統を守りながらも時代に合った新しいことに挑戦しなくては」。老舗の5代目が次世代に伝えたいメッセージでもある。

 【メモ】佐野市田沼町731。午前9時~午後6時半(日曜、祝日は午後6時まで)。火曜定休。(問)0283・62・0122。

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