《連載:いきものZOO鑑inかみね動物園》ウミウ 餌を丸ごと「うのみ」

茨城新聞
2020年9月3日

水深2.5メートルの水槽に勢いよく潜り込み、鋭いくちばしで魚を捕まえる。ウミウはカツオドリ目ウ科の渡り鳥。日立市十王町伊師の伊師浜海岸の断崖には、国内で唯一、ウミウを捕獲して全国の鵜(う)飼い地に供給している「鵜とり場」がある。

ウミウは集団で飛行し、春には繁殖のため北海道周辺へ、秋には越冬のため本州沿岸や九州方面へ。長旅で羽を休める習性を利用し、市内では古くから捕獲が行われてきた。

かみね動物園では「はちゅウるい館」の一角で3羽が暮らす。体長は約85センチ、体重約3キロで、翼を広げると幅約150センチになる。

体は水中で魚を捕るのに特化している。光の屈折を調整して水の中でも見える目、4本指の間にある大きな水かき、先がかぎ状でへりはカミソリのようなくちばし。鼻の穴は成長とともに閉じるという。

食事の時間が近づくと、水に浮いてそわそわ。餌は解凍したアジ。水中でつかんで水面に上がり、魚のひれが喉に引っ掛からないよう頭側から丸ごと「うのみ」。生きた魚を与えたこともあり、飼育員の中本旅人さん(34)は「ドジョウも、あっという間に食べた」と話す。(随時掲載)

【メモ】1989年に「市の鳥」。2年前に新設した「はちゅウるい館」は、は虫類とウミウを掛け合わせている。

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