《旬もの》瓶牛乳健在、風味しっかり いばらく乳業(水戸市)

茨城新聞
2020年6月22日

カルシウムやタンパク質など栄養豊富な牛乳は母牛からの贈り物。備蓄や生産調整ができない、いわば生鮮食料品。牧場から食卓に届けられるまで、さまざまな工程で、安全性やおいしさのために徹底した品質管理が行われる。

茨城県庁近くにある、雪印メグミルクグループの「いばらく乳業」(本社水戸市)には毎日、10度以下の低温に維持されたタンクローリーで新鮮な県産生乳が運ばれてくる。日量約130トン。県産生乳100%を使った自社ブランド「常陸の郷」シリーズにも力を入れ、牛乳とヨーグルトを作る。

新鮮な生乳が運び込まれる「いばらく乳業」=水戸市笠原町

牛乳の容器は紙パックが主流だが、同社では懐かしの瓶牛乳も健在だ。1985年に学校給食用の牛乳がガラス瓶から小型の紙パックに変わり製造量は減少したが、根強い人気に支えられ、今も作り続けている。石岡市の牧場が自家製の瓶牛乳を作っているが、牛乳を製造販売する県内の乳業メーカーの中で、瓶牛乳を作るのは同社だけという。

瓶は割れにくく軽量化されたガラス製、ふたは紙ではなく密閉性が高いプラスチック製と進化している。回収して再使用する。高木将樹営業課長は「紙パックに比べ、飲み口が広い瓶は、飲みやすく、牛乳の香りと味をしっかり感じられる。密閉性が高く、作りたての味わいを保っている」。銭湯の風呂上がりに手を腰に当てごくごく飲む懐かしさだけでなく、おいしさも人気の秘密と分析する。

同社が製造する瓶牛乳は、スーパーなどで小売りはせず、宅配と、温浴施設や道の駅に卸す。中でも、県産生乳100%を使った乳脂肪率が高い「いばらき厳選牛乳」は地産地消と品質にこだわった。

宅配は専売店など約80店から県内約3万軒に届けられる。水戸市見川町の雪印メグミルク中央みるくセンターの大内佳治さんは「孫に飲ませたいと頼む人もいる」と話し、長年のファンも多い。

同社は県央・県北地区を中心に、学校給食の牛乳でもおなじみ。紙パック牛乳を1日約9万本製造する。新型コロナウイルスの感染拡大防止のために休校が続いた影響は大きい。高木課長は「学校給食の損失分を補うまではいかないが、家で過ごす時間が増え、小売りの1リットル牛乳やヨーグルトが好調」と話している。

■メモ
いばらく乳業▽水戸市笠原町1414
▽フリーダイヤル(0120)369040(午前9時~午後5時半、土曜・日曜・祝日除く)

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